第105章 夫婦のホワイトデーは… 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
狡い事をしようとしてるのは
あっちの方なのに…
何故か狡いのはこっちだと
狡い男な杏寿郎が言って来て
「俺に…さっきの、あのキスだけで。
我慢しろって言うのか?みくりは。
酷いと思わないのか?
ズルいのは、俺の方じゃなくて君だろう?」
こんなにキスしたいと思ってる俺を
あんなキスだけで キスしたでしょって
言いくるめようとしている
私の方が狡い女だと
杏寿郎に言われてしまって
「やっ、違…っ、狡く…ない…、んんっ」
さっきまでの遠慮していた
触れるだけのキスじゃなくて
キスしたいと思ってる
杏寿郎が満足する様な…
熱い情熱的な貪る様なキスをされてしまって
こっちが…それを 今はダメって
言ってる理由は…
こっちの腰が砕けちゃう…からなのに
ズルッと脱力しそうになった身体を
杏寿郎に支えられて
許して…貰えるのかと ほっとする
「…気…抜くのは、まだ早くないか?」
そう悪魔のような囁きが
耳元で聞こえて来て
こっちの腰が砕けて立てなくなって居ても
まだ足りないと言いたげにキスをされて
へにゃへにゃになって
立てなくなったのを
ハウスの隅の方に一つだけ
置いてあった休憩用のベンチに
座らされてしまって
別のハウスで作業をして
戻って来た農家のおじさんが
私達がいちごを全然食べてなかったのに
驚いてパックに一杯のいちごを
持って帰っていいよと言ってくれて
それぞれの手にいちごが
山盛りになったパックを手に
グランピング場の管理棟に戻ると
「なぁ、奥さん。いちごは、
いつでも、道中で食べられるぞ?
あ。キャンドル作って行くか?
キャンドルナイトに使う…やつ」
昨日の夜に砂浜でやっていた
キャンドルナイトに使うキャンドルを
作って行こうと杏寿郎が言って来て
作る事が出来るキャンドルは
モザイクキャンドルというタイプで
予め四角い形にカットされた
色んな色の蝋の塊を
紙コップの縁に沿って並べて
中央に蝋を流して作る簡単な物で
カラフルにしてもいいし
単色にしたり
グラデーションにしたりと
そのデザインで個性が出せるもので
このキャンドル作りで作ったキャンドルが
あの砂浜のキャンドルナイトに
使われるのだそうで
折角だし作って行こうと
杏寿郎が声を掛けて来て
「まぁ、折角だから…してもいいけど」
「そうか。ならそうしよう」