第104章 夫婦のホワイトデーは… 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「でもそれは、俺の所為…じゃないのか?
俺が、奥さんを…そうしたんだろ?
そろそろ隠れてないで、みくり。
そこから…出てきたらどうなんだ?」
そう布団の向こうから
こっちに杏寿郎が言って来て
「…やっ、…おやすみなさい、したもんッ」
「まだ、してないだろ?
いつもの、おやすみなさいのキス…。
忘れてるぞ?みくり」
このおやすみなさいのキスは
一緒に同棲する様になってから
習慣になった
私と杏寿郎のナイトルーティーンだけど
おやすみなさいの挨拶はしたけど
確かにまだ…おやすみなさいのキスは
まだして居ないのはして居なかった
もぞ…っと 布団の山が動いて
そっと目だけ出していたみくりが
顔を布団の中から出して来て
キスが出来る様に口元まで
被っていた布団を降ろして来て
「うん、する…。
おやすみなさいのキス…」
キシ…と ベッドが小さく軋んで
杏寿郎が横になっていた身体を起こすと
上からみくりを見下ろして来て
する…っと頬をその手が撫でて来る
「おやすみ…、みくり」
ちぅ…と 杏寿郎が
みくりの瞼にキスをして来て
おやすみなさいのキスを
瞼から 眉間 鼻の頭に落として来て
つん…と唇ではなくて 指先が
みくりの唇の上に落ちて来て
「どうする?みくり。
ここにも…、欲しいか?キス」
「おやすみなさい…の、方…?」
その行動の意味を確かめる様にして
杏寿郎にそう問いかけると
「おやすみなさいじゃない方…か?」
杏寿郎からはそう返事が返って来て
「おやすみなさい…のじゃ…、なくて…?」
「……ダメか?」
視線を合わさない様に反らせてみるが
顔に注がれている視線が熱くて
反らせていても注がれているのを
びしびしと感じてしまうから
ちら…っとそれを確かめる様にして
自分の視線だけを杏寿郎に向けると
杏寿郎の指先が
みくりの唇を確かめる様にして
ぷにぷにと押しながら撫でて来て
唇と唇の間から指の先だけを口に入れて来て
下の前歯を指先で擦って来る
その歯を擦られる振動が
下顎に伝わって来る
……こっちの意思確認…的な
そんな意味合い…も…あるのかな?
自分の口に挿れられて…る
杏寿郎の指を押し返すのか…
受け入れるのか…とか…
「…………」