第104章 夫婦のホワイトデーは… 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
こっちと杏寿郎が言いながら
ベッドの自分が居る場所の
隣の部分をポンポンと叩いて来て
貴方のお隣のその場所は
私が毎日寝ている場所ではあるのだが
「ん?どうしたんだ?みくり。
そんな所に突っ立ってても仕方ないぞ?
もしかして、寝ないつもりか?寝るだろ?」
キャリーバックの
ファスナーを閉めると
ベッドの上に上がって
いつもの定位置に収まって
電子書籍を読んでいる
杏寿郎の身体のもたれ掛ると
よしよしと杏寿郎が
みくりの頭を撫でて来て
その頭を撫でていた手の指が
つん…とみくりの耳に触れて
ぴくッと小さく思わず反応して
身体が跳ねてしまったが
声を漏らさない様に抑えると
みくりがはぁ~っと
自分の中の緊張を逃す様にして
大きく息を吐いて
肩に入っていた力を抜いていて
何とも言えない様な顔をして居るのが
ちらっとだけ視線を向けたら見えたから
そのまま その奥さんを見てると
何とも言えない様な
難しい顔をしながらむぅううと
口を尖らせて不満そうにして居るので
「何だ?奥さんは…、俺が
片手間に構うのが気に入らない感じなのか?
奥さんがそうだって言うなら、
片手間にじゃなくて、本格的に
奥さんを構う方に全フリしてもいいが?」
それが奥さんの不満の原因なのかと
そう杏寿郎が問いかけると
むっと更に その顔を顰めるから
奥さんのご不満はどうやら
そっち…では無さそうには無さそうだな
「別にっ…、それが…、
嫌だって意味じゃなくて…」
「うん?じゃあ…、
違うって言うんだったら。
他に何かあったか?みくり」
「自分の身体のどうしようもなさ…を、
嫌な程に痛感してた…だけだからっ。
それだけ、もう寝る…。おやすみッ」
そう言ってガバッと
頭の先しか出ない所まで
深くすっぽりとみくりが
布団を被って潜り込んでしまって
こんもりとした山になった
掛け布団のその部分を
布団の上から杏寿郎が撫でると
「そんな、理由で
さっきから拗ねてたのか?君は」
そう杏寿郎が
その布団の山に対して問いかけると
もぞもぞと布団の中から
みくりが出て来て
顔を全部出さずに目だけを出すと
「そうだよっ。だって…ッ。
ちょっと、杏寿郎に、触られちゃったら…さ。
変な声っ、出ちゃいそう…に、なるし…ッ」