第103章 ある夫婦の3月のお話 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
まぁあの中条の家では
みくりが中学生とか
高校生とかの頃とから成瀬さんが
みくりに物をあげるのは
日常になってるから…普通なんだろうがな
俺から見れば 数年かけて
あの片山の家の感覚を成瀬さんが
バグらせて麻痺させたような構図にしか見えないが
あの中条の家に凄い子育てが
しやすい空間が作れる一式が
整えられそうな気がするのは
俺の気の所為でもない気がする
それぞれが自分の隣に
座っている相手と雑談をしながら
二田の家からは30分少々で
二田の隣にある神南港市には着くけど
お昼を先にって言ってたし
お父さんが運転してくれてるけど
お店も予約してあるからって
お母さん張り切って言ってたけど
どうも浪川神社とは
向かってる方向が違うから
そのお昼を食べるお店に
車は向かってるんだろうけど
浪川神社は街中の
周囲に飲食店や居酒屋が建ち並ぶ
激戦区にあるのに
タイムズとかなら駐車場もあるし
どこに行くんだろうと思って居ると
繁華街の辺りからは
ちょっと外れた辺りの
お店の客専用の駐車場にセレナを停めて
駐車場から店まで歩く
杏寿郎とみくりの姿を
槇寿郎は瑠火の隣で眺めていて
「どうか…、なさいましたか?貴方」
隣に居た瑠火が 槇寿郎の様子を見て
そう声を掛けて来て いや…と
槇寿郎が小さく自分の首を左右に振る
瑠火にはあの頃の記憶はない…
思い出して欲しいとは俺も思ってはいない
今の俺の隣に居てくれるだけで
俺には十分だからな…
あの時…
杏寿郎が無限列車の任務で
その命を落とした後に
みくりのお腹の中に
杏寿郎の忘れ形見が居る事が発覚した
だが…それが発覚したのと同時に
彼女に残された時間は半年だと
胡蝶しのぶが言っていた
俺は…ある提案を当時のみくりにした
だが彼女は俺の提案を受け入れる事は無かった
口約束での婚約はしていたが
正確に結納を取り交わした訳でもなく
自分は半年後には死ぬ身なのだからと
俺のその気持ちだけで十分だと…
そう俺に笑顔で言ったんだ
死んだ杏寿郎と
夫婦に成る事が叶わないのであれば
せめて 彼女を
俺の養女として迎える事で
”煉獄”の苗字を名乗る事が出来るし
煉獄の家の墓に遺骨を納める事も出来る
槇寿郎の脳裏に浮かぶのは…
その時の光景だった