第23章 惣菜屋さんの筑前煮 後編 お相手:煉獄杏寿郎
「みくりさん…、
それは無理なご相談と言うものだ」
優しい声で今度はそう言って来て
頬を撫でる指先も
愛おしむ様にして優しく触れて来る
「杏寿郎っ…さっん、んんっ」
名前を呼び終える前に
唇を唇で塞がれてしまい
そのまま何度も口付けられる
「それに俺は、
…思った事を思ったままにしか
お伝えはしておりませんが?
お嫌…でしたか?」
口付けの合間に
そう問いかけられてしまって
みくりは小さく首を横に振った
「して、こちらはどの様に?」
今 みくりが着ている訪問着を
脱がせてどうしたらいいのかと
杏寿郎に尋ねられて
みくりが 部屋の散に掛けている
何も掛かっていない
着物用の衣文かけの方へ
視線を移しながら
「あの、
…あちらに…衣文かけがあるので…」
失礼と声を掛けられて
そっと着ていた訪問着を脱がされると
襦袢だけの姿になる
皺にならないように
その訪問着を杏寿郎が扱いながら
先程みくりが指定した
衣文かけに着物を掛ける
それを終えて
彼が私の所へ戻って来て
少しずつ…襦袢の紐を解いて行って
いつもよりも 気のせいでないのなら
ゆっくりとゆっくりと時間を掛けて
脱がされているのを 感じていると
「何も纏って居ない姿も、
貴方は美しいが…。
この様に、少しばかり
…肌蹴て乱れた襦袢だけの姿も」
「杏寿郎さんっ?
厭らしいっと…ご指摘を
差し上げたばかりであります…よ?
お許し下さいまし?」
「何を…許されたい…のか、
俺にお教え願いたいが?」
分かっている癖に
そんな事 分かり切っている癖に
そんな風に 聞いて来るだなんて
「あ、あまり恥ずかしい事ばかり、
仰らないで下さいませ…、杏寿郎さんっ」
「はははは。それはどうでしょう?
みくりさん、貴方がそんなにも、
可愛らしく恥ずかしがるのであれば、
俺はもっと言いたくなってしまう。
貴方は罪な人だ…俺をこんなにも…。
どうしようもない、
男にさせるのだから…事の責任は」
そう一旦言葉を区切ると
ペロリと私の耳たぶに舌を這わせて来る