第101章 夫婦のバレンタインデーは…中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
ソファの前にテーブルがあるんだから
わざわざ自分の両手を塞いだままで
不自由なキスをしなくても…
良さそうな物なのに…
「ねぇ、杏寿郎…、そこ…、置かないの?」
「そんな事、俺に提案していいのか?
そうしてしまったら、折角
朝からゆっくりコーヒーを堪能するんじゃなくて。
このまま、ゆっくりここで奥さんを
朝から堪能する事にならないか?みくり」
「もぅ、そんな調子のいい事ばっかりぃ。
はいはい、朝から遊んでないで。
その折角のコーヒーが冷める前に
あっち行くでしょ?ベランダ」
みくりがソファから立ち上がると
両手が塞がっている杏寿郎の代りに
ベランダへ続くガラス戸のカギを外して
戸をガラガラと開いて
杏寿郎がそのままベランダに出られる様にする
ベランダでの景色をゆっくりと
楽しめる為に置いてある
テーブルとイスのセットの所に
杏寿郎がそれを運んで行って
木材の木目を生かした
自然な形をしたテーブルに
淹れたコーヒーと
私に淹れてくれたほうじ茶を置くと
「奥さんも…こっちでお茶…飲むだろう?」
「うん、飲む。それにしても…
爽やかな…朝だね、杏寿郎…」
山の中にあるホテルなので
周囲は緑に取り囲まれているし
小鳥のさえずりをBGMにして
朝の日の光を浴びながら
自分達の居る場所から下に広がる
神南港市の景色を眺める
「やっぱり…ここから、この景色を
見ながら飲むコーヒーは格別だな」
コーヒーカップを傾けながら
スマートフォンで新聞を読みつつ
杏寿郎が漏らす様にして言って来て
「コーヒーもお贅沢だけど、
この景色を見ながらの、
朝風呂もきっとお贅沢だと思うよ?」
お湯そろそろだと思うから見て来るねと
飲んでいたほうじ茶を一旦テーブルの上に置くと
みくりがバスルームの方へと向かって行って
お湯を止めて戻って来る
「窓、開けて入ると思ってたから
熱めのお湯張ってあるからさ。
それ、飲んだらお風呂、入ろうね?」
「ああ、ありがとう。みくり。
流石は俺の奥さんだな、分かっておられる」
そうわざとらしい口調で
杏寿郎が言って来て
ゆったりとした 山の中の朝の
贅沢な時間を一緒に過ごす
「山には山の良さがあるな」
「そうだね、確かに、海もいいけどさ。
山も良いよね?空気まで美味しいもん」