第99章 日輪刀とチョコレゐト バレンタインネタ お相手色々 裏なし
「いいじゃないですか、トラさんも
師範がお戻りになったから、
嬉しいんですよきっと。
それに、トラさんだけじゃないです」
あっちと庭の茂みをみくりが指さすと
そこには 数匹の野良猫がこちらを見ていて
「師範はモテモテですねぇ~、相変わらず」
「あん?バカ言ってんじゃねぇ。
猫なんぞにモテて何になるだァ?」
横にして休めていた身体を
不死川が起こして来て
山になって居る白いおはぎをその手に取ると
自分の口の中に放り込んだ
「何だこらァ、砂糖食ってるみてぇじゃねぇか。
んなもん、野良猫も食やしねぇだろうがァ」
「だからっ、自分で食べてるって…
言ったじゃないですかっ、試作品だってッ」
むんずと新しい白いおはぎを
不死川が手に取ると それから
2つ 3つとそれを何も言わずに食べてしまって
「やっ、食べなくていいですってばっ
甘すぎるから、失敗なんです。それは!」
「食う」
「ダメです」
「いや、食う。俺が食うつったら食う」
そう言って そのまま
もぐもぐと白いおはぎを
不死川が次々に食べて平らげて行くのを
こちらはただ見守っているしか出来ずにいて
「味は甘ったるいが、悪かねェ。
食えない程でもねぇ。お前も…、食うかァ?」
山になるほどあった白いおはぎが
もう 3つ程しか残ってなくて
そのひとつを手に取ると
もぐ…と一口齧った
甘い 粉砂糖の味と
甘いあんこの味と
ほんのり苦味のある…
ビターチョコレイトの味がする
「甘い…」
「最後は…チョコレイトの味すんだろうがァ」
おはぎの中心にはきな粉のおはぎの様にして
中にも餡子を入れていて
そのおにぎりの具の様にした餡子の
中心にビターチョコレイトが入れてある
表面は粉砂糖まみれだけど…
「みくり」
名前を呼ばれて
師範の方を見ると
こちらを見つめている
師範と目が合ってしまって
近付けられる顔に
口付けられる予感を感じて
みくりが瞼を閉じると
ちゅ…っと不死川の唇が触れて来て
その口付けを受け入れる
「ありがとよ…。俺に…なんだろ?
この、けったいなクッソ甘ぇおはぎはよォ」
「だからっ、これは…失敗作だってっ。
んんっ、ふ…は、師…範ッ」
「馬鹿かァ?みくり。
今は…師範じゃねぇだろうがよ」
口調こそはいつも通りの師範だけど