第99章 日輪刀とチョコレゐト バレンタインネタ お相手色々 裏なし
名前を呼んで来る声は…
いつもの師範からは想像もつかない位に
甘い声…で優しく呼んで来るから
「んっ、さ、実弥…さ…んッ」
よしよしとその手に頭を撫でられてしまって
そのまま 横になる為に用意していた
長座布団の上に身体を倒されてしまって
下から 師範の顔を見上げてしまって居て
「俺ん為、じゃねぇのかァ?」
上からその視線に見下ろされながら
尋問されて居る様な気分になる
「胡蝶様にお聞きしたんです、
その…外国には、チョコレイトを
贈って、感謝の気持ちとか愛情を
伝える日があるんだって…だから…その…」
「俺にチョコレイトの入った、おはぎを
食わそうとしてたのかァ?お前はよォ」
「師範に…は、その…、
いつも、お世話になって居るので…。
いや、その、お守りと言うか、
お世話もしてますけど…」
「それ、残ってんの、食わせろォ」
組み敷いて置いて
こっちにおはぎを食べさせろと
不死川が言って来るので
みくりが皿の上に残っていた
白いおはぎをひとつ手に取ると
不死川の口元にそれを持って行って
開いた口におはぎを入れると
もぐもぐと彼がそれを咀嚼して
嚥下するのを下からぼんやりと見ていて
唇に残った粉砂糖を
舌で舐め取る姿に
何とも言えない色気を感じてしまう
「んな顔して、見てんじゃねェ。
お前も…、欲しかったのかァ?」
そう言ってそのまま唇を塞がれてしまって
ヌルっと口の中に侵入して来た舌が
何かをこちらの口腔内に押し込んで来て
ふんわりとビターチョコレイトの香りと苦味が
みくりの口の中に広がって行く
おはぎのあんこの甘い香りと
ビターチョコレイトの苦味のある香りが
絡め合った舌から広がって
口腔内から鼻腔へと抜けていくから
「んっ、ふ、はぁ…、んん…んッ」
「みくり、美味ぇかァ?
チョコレイト…はよォ」
その甘くて苦い口付けに
口の中のチョコレイトの様に
甘くそれでいてほんのりと苦く
トロトロに溶かされて行くのを感じる
「おはぎよりも、お前の方が…甘ぇ」
そう言って更に求められて
与えられる口付けは
甘くて 熱くて 蕩けてしまいそう
おはぎよりも甘く
チョコレイトよりも苦い…?
貴方が私にくれる
その口付けが…何よりも甘い
ー 終 ー