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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第22章 惣菜屋さんの筑前煮 前編 お相手:煉獄杏寿郎


西田屋は手土産に喜ばれる
老舗の和菓子屋で

この辺りに住んでいる者ならば
知らない者はいない位だけども

この羊羹…凄い人気だから
朝から並ばないと
…買えないはずなんだけど

どうしてトキ叔母さんは
これを今日 ここに持って来れたんだろ?

「トキ叔母さん。これ…良く買えたね。
大変だったんじゃないの?」

「ああ、それの事。
アンタが気にする事じゃないよ。
たまたま運が良かっただけさ、
並ばなくても良かったんだよ
それより…その着物。どうしたんだい?
静江さんのじゃないし…、
もしかして、
煉獄の坊ちゃんからの贈り物かい?」

そう言いながら
ニヤニヤと笑みを浮かべながら
こちらを見て来て

「うん。そうなの。
…今日これを着て欲しいって。
杏寿郎さんが」

「ははははは。
そんなん口実だろうがね!
男が着物を贈る理由なんざ…、
決まってんだろ?」


そう言えば…

普段使いの着物も
ついでだからと一緒に

買って貰ったのを思い出して

でも 杏寿郎さんからすれば

それは… その

つまりは…贈った着物を着た私の

その… 脱がせたいとかそんな意味で


「随分、上等な訪問着じゃないのさ。
その色も柄もみくりちゃんに
似合いじゃないかい。で、それは
煉獄の坊ちゃんの見立てなのかい?」

これを選んでいる時の
状況を思い出してみると

呉服屋の店員さんが
あれやこれやと説明しながら
並べている隣で
もう彼の中では決まっていた様な

「そうだけど…、どうしてわかったの?
トキ叔母さん」

「そりゃ、何年アンタの叔母さんなんか
やってると思ってんだよ?わたしにゃ、
アンタの好みの着物の
柄や色位は知ってっさ。
まだ、時間もあるんだし、
髪…結ってあげるよ」

こういう時のトキ叔母さんの
タイミングは驚くほどに正確だ

きっと まだ時間があるって言ってるから

彼はまだ 迎えには来ないのだろう

鏡台に前に座ると
軽くまとめていた髪を解く

トキがみくりの
艶やかな黒髪に丁寧に櫛を通して行く

「綺麗な…黒髪じゃないのさ。
静江さん譲りの…
お人形さんみたいな髪だねぇ」



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