第99章 日輪刀とチョコレゐト バレンタインネタ お相手色々 裏なし
「ここ…、甘露寺さんが言ってたカフェ」
そう言って走っていた足を止めて
掴む様にして握っていた
手首を開放してくれるのかと…思って居たのだが
がっしりと握られた手首は
もう走るのは止めた後なのに
解放しては貰えない様で
「あの…、無一郎君…その…手を」
「手?ああ…、手ね。
ずっと、…掴んだままだったの
気が付かなかったや」
そう言って 無一郎がみくりの手首を
掴んでいた手を離して来て
その触れていた手が離れた事に
ほっと安心した気持ちがあるのと
それと同時に…ちょっとだけ…
寂しいと思う気持ちがあった…のは…
私の勘違いじゃないはず…
ひょこっとこっちの顔を
無一郎が覗き込んで来て
「どうしたの?みくり。
ねぇ、中、入ろうよ?パフェ、食べないの?」
カランカラン カフェのドアを開くと
ドアに取り付けられている
来客を知らせるベルが鳴って
『いらっしゃいませ、二名様ですか?』
「そんな事も、見て分らない…むぐっ」
何時もの塩対応の方の無一郎だったので
カフェの店員の女の子が
泣きそうな顔をしていたので
慌ててその口をみくりが塞ぐと
2名だと言う事を伝えて
店の奥の方の位置にあるテーブルに案内される
水とおしぼりとメニューが運ばれて来て
そのメニューの一番最初のページに
一押しのメニューとして
カップル限定のビックサイズパフェと
グループ限定のウルトラビッグパフェが
デカデカと載っていて
少し遅れて入店して来た
バンカラスタイルの学生さんの4人組が
その大きなバケツ位のサイズの
パフェを注文してる様だった
パフェはバニラとイチゴとチョコとで
メインになるアイスを選べるらしく
「無一郎君、何味にしますか?
アイスが選べるみたいですよ?」
「じゃあ、チョコレイト…味のやつ…で」
カップル限定のビックサイズパフェの
チョコレイト味を注文して
注文したパフェが届くのを待っている間
斜め向こうのテーブルの
バンカラスタイルの男子学生4人組が
視線をこっちにチラチラと向けて居るのは
きっと私の気の所為…ではない…はず
『あっちのテーブルの子、可愛くね?』
『分かる分かる、美少女過ぎるっ』
『声、掛けちゃう?掛けちゃう?』
ゆらゆらとテーブルの上のグラスの水面が揺らいで
「無一郎君、ダメですッ」