第22章 惣菜屋さんの筑前煮 前編 お相手:煉獄杏寿郎
「急な申し出で、申し訳ないのだが…。
明日のご予定を、
どうにかしては頂けないだろうか?」
「いえ、それは…随分と急にあられるので。
私としても、驚いている所ではありますが。
杏寿郎さんはお忙しい身であられるので、
杏寿郎さんがおられる時でないと
貴方のお父様とお出会いする事も、
できませんでしょうし。私は構いませんよ?」
私がそう答えると
隣に座っている彼の顔が
パァッと音でも聞こえて来そうな
そんな勢いで明るくなって
ガシッと両手を掴んで
持ち上げられてしまった
「貴方がそう言って下さって、助かった。
俺は…貴方に感謝するしかない様だ。
では、明日…改めてお迎えに上がります」
「いえ、そんなご足労をおかけする必要は
ありません。杏寿郎さんのお家の場所は
この辺りの人間なら、皆が知っておりますし?
お迎えに来て頂かずとも…」
「では、…今日は
お時間はお取り頂けるだろうか?
明日…、
家にお越しいただくのに当たって…では
あるのですが。丁度いい機会だ。
俺から貴方に着物を贈らせて
頂きたくあるのですが?」
確かに
うちはそんな裕福な家庭ではないので
おいそれとは着物を新調したりは
出来ないのは事実ではあるが…
いつも店は お昼前と夕方の辺りが混み合うが
それ以外の時間は ほとんど客足がないので
(彼が店に来ていたのは
その時間を避けた時間帯ではあったのだが)
その間の時間は買い出しに出たり
休憩をしているので
午後の夕方までの時間なら
時間が空いているのは 空いているのだが
「ですが…」
「俺がそうしたいと言ってるんだ。
貴方はあまり気負いせずに、
俺に甘えて頂きたい所でありますが?」
「でしたら、お言葉に甘えさせて頂きます…」
それから その午後の伝えていた時間に
彼が迎えに来てくれて
呉服屋で訪問着を一式揃えてくれた
それに この前の時も
ポンと250万を出してくれたので
経済的には裕福なお家であられるのは
確かなのだろうけども…