第93章 デートしようよ?村田さん お相手:村田さん 裏なし
「え?タオルなんて…どこから…」
「あの、ワカサギ釣り場の奥さんがさ。
温泉行くんだったら、貸したげるって。
あのワカサギ釣り場で、お客さんに
貸したりするタオルみたいなんだけどさ」
外観の通りに中も小さな温泉で
地元の人が来る様な場所だな
穴場の穴場の様な温泉で
規模の小さいから洗い場も5人が
一度に入れば満員になりそうな広さで
赤色をした温泉は独特の香りがして
身体の芯から冷えた身体を
温泉の湯が温めてくれて
「すいません…、お待たせしてしまって…」
「ううん、いいんだ。別に待ってないし。
じゃあ、冬…感じられる場所…行くでしょ?」
「え?まだ…連れて行ってくれるんですか?」
ちょっと移動するけど…と言われて
辿り着いた先は…一軒の料理旅館で
「さっきのワカサギ釣りの所の
息子さん夫婦が経営してる料理旅館らしいよ?
貸し切りの露天風呂が…楽しめるから…って。
奥さんの紹介って言ってくれたらいいってさ」
ちょっと聞いて来るねと言って
村田がその中に入って行って
入口の前に立って居ると
『あの、良かったら…、囲炉裏…
身体冷えてしまうといけませんので…。
中に入ってお待ちください…』
みくりに気が付いた
料理旅館のお嫁さんがそう声を掛けて来てくれて
古い…藁ぶき屋根の大きなお家を
改装して作った様な料理旅館の入口から入ると
吹き抜けの様になっていて
所々に梁が通っているのが見える
外観の古さからは想像もつかない程に
中は綺麗に内装が整えられていて
「ねぇ、今日の予約のお客さんが…
来れなくなっちゃったんだってさ。
部屋…空いてるみたいだから…泊ってく?」
宿泊……泊り…って事は…ッ
『ねぇ、茂ちゃん…、今日は…
離れのお部屋が空いてるから…
使って貰ったらどうかな?』
『露天風呂付きの離れ…が空いてるんで…
もし良かったら、そちら…でどうぞ?』
料理旅館の旦那さんと奥さんと
それから村田さんの3人の視線が
私の方へ…向けられていて
私の返事…次第…と言う事なのだろうけど…
「村田さん…、お泊り…してもいいですか?」
「じゃあ、それで…お世話になっちゃおうか。
じゃあ、1泊で…お願いしてもいいですか?」
『ええ、でしたら…、お夕飯の準備ができるまで
お部屋の方でご寛ぎになってお待ちください』