第93章 デートしようよ?村田さん お相手:村田さん 裏なし
「じゃあ、道具…借りて来るから。待ってて」
「はい、ありがとうございます。村田さん」
借りて来た道具を一式
凍った氷の上に村田が置くと
「場所は…この辺りでいいかな?」
「えっと、村田さんが決めて下さい…。
私には…どこがいいのか…全然わからなくて…」
「まぁ、そう言われても
俺にも全然わかんなかったりするんだけどさ。
ああ、そうだ、この辺りにする?」
そう言って他の釣りの客からも離れた場所に
借りて来た道具の中にあるドリルの様な
専用の道具を使って厚く張った氷に
釣りをする為の穴を開けて行く
その小さな氷に開けた穴に
小さな竿の先の釣り針を垂らして
ワカサギが掛かるのを待つと
グイグイと引いている感覚がして
糸をリールで巻いて手繰り寄せると
仕掛けた針にワカサギが2匹掛かっていて
「見て下さいッ。村田さんッ
釣れましたよ!ワカサギッ、2匹もっ」
「良かった、ワカサギ釣りなんてって
引かれちゃうかと思ったけど…。
ここに来てさ、あそこのスケートが出来る
湖からも近いし、これも冬らしいかって思ってさ」
「村田さんッ、引いてるっ、引いてますよッ」
グググっと村田の持っていた
釣り竿が大きくしなって…
リールを巻いて糸を巻き上げると
3匹のワカサギが針に掛かっていて
「凄いですよッ、村田さん、大漁じゃないですかッ」
「でも、折角天ぷらにして貰ってさ
食べるんなら、もっと釣りたいでしょ?」
そう言ってしばらくの間
2人でワカサギ釣りに勤しんで
揚げたての美味しいワカサギの天ぷらと
温かいお味噌汁と白ご飯で
ちょっと遅めのお昼ご飯にして
会計をして来ると言って
村田が支払いをしに行ったまま
ここのワカサギ釣り場の管理人の人と
あれこれと話をして居た様で
村田さんは人がいいオーラが出てるからなのか
全然知らないおばちゃんやおばあちゃんや
おじいさんの話を聞いたりしている事が多くて
「ごめん…お待たせ…待たせたよね?」
「いえ…、そんなに…待ってませんけど」
「さっきさ、ここの奥さんから聞いたんだけどさ。
この辺りに温泉に入れる場所があるらしくて。
ここまで来たんだし、温泉で温まって行かない?」
そう言って着いたのが…
地元の人が行く様な…
銭湯の様な入浴施設で…
それも入口に料金箱があって無人の様だった
「これ、タオルね」