第21章 惣菜屋さんと煉獄さん 後編 お相手:煉獄杏寿郎
上から見下ろされているのに
不思議と圧迫感はなくて
その穏やかな視線を向けられていると
これから その様な行為を
するのかと言うのすらも
疑問に思えてしまう
「ああ、そうでした。
話が逸れてしまっていましたか。
あくまで俺の、推測での話ではあるが。
貴方のご主人は
貴方が行為の度に痛がるからと
行為その物を中断なされたり、
口で済ますよう強要したり。
挙句は違う女の寝所へ行っていたと……。」
「ええ、
そうではありますが……それが」
「そうであるなら、その
……変な言い方ではあるが。
ちゃんと最後まで、
なされてなかったのでは?」
ちゃんと最後まで…?とは
「最後までと、仰られますと?」
そう 私が
彼の言葉の意味を問いかえすと
彼が少々気恥ずかしそうにしながら
何をどうとして終わるのかを
私の耳に耳打ちして来て
「その様に、された事は……?」
「片手……ほどは…あったかと」
「なら、益々……
そうではない可能性が高そうだ
みくりさん、貴方は子供が出来ない
身体ではない可能性が高そうだが……。
どこかでお調べになられたりは?」
いいえと 私は首を横に振った
夫はお前が悪いのだから
そんな物は必要ないの一点張りだったし
でも だとしたら……私は
子供が望めない身体ではないと言う意味?
だったら 私は…
そっと杏寿郎さんの唇が
私の目尻に口付けて
知らない間に泣いていたのだと
気が付いた……
「その、…怖いと
お感じになられてるのなら…、無理には」
私にそう 言う言葉も声も優しくて
それでいて 頬を撫でる手も優しい
まるで 割れ物のガラス細工にでも
なったような気分だ
「私は、その……
生娘でもないですので…。
そこまでお気遣いして頂く必要は…」
スッと右手を杏寿郎さんに取られて
その手の甲に口付けを落とされる
指先から 指の一本一本にまで
「自分が心底、
好いて…惚れた女を抱くと言うのに。
貴方は手荒くしろと仰るのか?
みくりさん…。貴方は酷い女(ひと)だ。
目を…開いておくといい。
その目で、俺を見ていればいい……」