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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第21章 惣菜屋さんと煉獄さん 後編 お相手:煉獄杏寿郎


「ああ。始まったか…」

「そうですね、
少し建物に端が隠れますが……
人の頭は観なくていいかと…」


夏の終わりの夜空を
大輪の花火が色とりどりに

彩っては 消えて行く

風向きが少し変わり
その火薬の匂いと共に
煙が少し流れて来て


「綺麗ですね…」

「ええ。とても……」


「花火を見上げる
貴方の横顔も、綺麗だ…」

「杏寿郎さん?私はいいですから、
花火をちゃんと観て下さいましな」


こちらへ視線を向けている彼の顔を
花火の方へ向けようと手を伸ばした時に

その手を掴まれてしまう


「みくりさん……」

「はい……、何でしょうか?」


「貴方には……、
俺と夢を共に見る募りは
今夜はおありだろうか?」


それは つまり
この後 そうしてもいいかと

彼に確認を取られていて


「夢と言うのは夜に見る物…、
朝の露に触れれば
儚く消えゆくものにあります」

「まだ、貴方はお分かりではない様だ……。
貴方らしいお答えではあるが……、
まぁ、夜はこれからと言う物……。
月が満ちて欠けゆくが如く…、
人の心もまた移り行く物だ」

頬に触れていた彼の手が
私の耳を撫でて行く

「このまま、
うたかたの夢にして下さいまし?
私の事など……、
お捨て置き下さればいいものを…」

「あくまで、貴方の方は
今夜限りだと……仰りたい様だが…」

朝顔のかんざしを髪から抜き取られて
留めていた髪がバサッと解けて降りて来る

杏寿郎がみくりの髪を一束救い取り
恭しく口付けを落とした

ガラッと開いていた窓を
杏寿郎が閉めると
室内には闇が降りて


「月が…見ておりましたので。
とは言えども、些か暗すぎる……か」

「今、明かりを…点けますので……」


部屋の隅に置いた行燈に
みくりが火を灯すと
ぼんやりとした明かりが室内を照らす

電気はあるけど 明る過ぎるから


「少しお待ち頂いても…、今、お布団を…」

「いや、それでしたら俺が…」

「でも、ここは私の家ですの……で。
お客様のお手を
煩わせる訳には行きませんので」


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