第86章 巣ごもりのその後 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
「もう、悪阻とかあるの?
私、炊き立てご飯の匂いがさダメでさ?」
「え?水嶋さんもですか?
それまで平気だったのに。
今朝から、急にあの香りに
嫌悪感を抱く程に嫌いになりまして…」
「それだけじゃないよ?それまで
好きだった物が食べられなくなったりとか。
その逆に、好きでも何でもない物が
食べたくなったりとか。うちの旦那も
食べ物の嗜好の変化にびっくりしてたもん」
食欲が無くなるだけじゃなくて
好きな食べ物まで変わるんだ…へぇ
ってまだ調べてないのに
ますます妊娠してる気分になるけど
自分が感じてるこの異常が妊娠じゃないなら
何か説明して欲しい位だもん
私の性欲はどこへ行ったのよ?
忽然と消え失せてしまった
自分の性欲の行方を考えながら
その日の仕事をし終えると
夕飯の買い出しに近所のスーパーに立ち寄った
何を作るかと言うよりは…
食材を見て にらめっこして
どれが食べられそうかを悩んでる
水嶋さんからある事を聞いたが
そのある事を実践する為には
私はあの白ご飯の匂いと戦う事になるので
ある物をワークマンで購入しておいた
その日は細やかなお祝いをしたかったので
残業は早めに切り上げさせて貰って
駅前のケーキ屋で食べきりサイズの
小さなイチゴのホールタルトを買って
それからアルコールは飲めないだろうから
気分だけでも一緒に楽しめたらと
ノンアルコールのシャンパンを買って
家に帰ったのだが…
キッチンで調理中のみくりは
どこかの解体作業現場か何かの様な
防塵防毒マスクを着けて料理をしていて
声を掛けるに声を掛けられずに
キッチンの死角からそれを見ていたのだが
大きめの皿に小さなおにぎりを握って
並べている作業をしている様だった
防塵マスクをしておにぎりを握る妻…は
多分日本中探してもここにしか居ないだろうな
シャッター音を消してあるカメラで
その様子をこっそりと撮影すると
「みくり…、ただいま」
「…ーー!!杏寿郎??え?え?
何時、帰って来たの?早くない?
こんな早いの珍しいから、びっくりしたし。
…お帰り…、杏寿郎」
秒であのマスクを外して隠すと
手を拭きながら杏寿郎を出迎える
「検査、したのか?」
「まだ…、してない…。
いつもの時間だって思ってたから……」
「なら、するか?」
「先にって事?」