第86章 巣ごもりのその後 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
そうして Xデーの11月30日を迎えて
眠気は酷いままの様で
子供の様な時間に奥さんは
寝てしまう様になって居て
食欲もないだけで無くて
朝に俺が今日は和食がいいと言ったから
前日の夜にタイマーで朝に炊き立ての
白飯が食べられる様にして居たのだが
炊飯器からメロディーが鳴って
炊飯が完了したと伝えて来る
「杏寿郎、ご飯炊けたみたい。
待っててね。今、…ご飯よそうから…」
「ああ。ありがとう」
みくりが炊飯器のボタンを押して
炊飯器の蓋が開くと
バタンっと凄い勢いで閉めてしまって
ズイっとこっちにお茶碗を差し出して来ると
「ごめん、杏寿郎。
白ご飯に恨みはないの、罪は無いのは知ってる。
ご飯、自分でお茶碗によそって下さい。
お願いします、私には、無理です」
さっきまで普通に朝食を用意していたのに
何故かご飯はよそえないと
こっちに申し訳なさそうにしながらも
どこか苛立たし気にみくりが言うと
「後、ご飯、こっちの方に置いて」
そう言って テーブルの隅を指差して来るから
自分の茶碗にご飯をよそうと
指定されたテーブルの隅に置くと
「奥さんは、食べないのか?
君のあの家の米だろう?」
普通のスーパーで買う米の
数倍は美味いあの中条の片山の家の米だが
いつもなら美味しい美味しいと食べているのに
「鼻が…、妙に敏感になってるんだよ。
何とも無い匂いと、ダメな匂いがあるんだけど。
もう、この世で一番、最悪な匂いがする」
みくりが炊き立ての
炊飯器の中に充満してる匂いが
この世で一番最悪な匂いと表現して来て
「つわりか?」
「うーん?どうなんだろう?
ムカムカするとか、吐きそうじゃない…んだけど。
色んな匂いに、敏感になってるみたい。
杏寿郎、もう一つ、お願いしたいんだけどさ」
「何だ?みくり」
「私のお茶碗に、半分だけご飯よそってくれる?」
「それは構わないが、これぐらいか?」
「うん、ありがとう。杏寿郎」
自分の身体からそれを離しながら
みくりがその白ご飯に
サーバーの冷水の方を掛けて冷ますと
自分の鼻を近付けて匂いを確かめていて
そのままズズッ…と
冷たいお茶漬けを食べ始めたので
この数日で何かをまともに食べてる
みくり姿を久しぶりに見た様な気がするな