第21章 惣菜屋さんと煉獄さん 後編 お相手:煉獄杏寿郎
「いえ、私はもう
結婚は……するつもりは…」
「そう、お考えであられなければ。
今、貴方が俺の前にはおられまい……」
そう言って彼は
物悲しそうな笑顔を浮かべる
「それは、それだけ…
貴方の結婚生活が酷い物だったんだと。
想像するに足りると言う物だ……。
貴方をそれほどまでに深く、
傷つけて置きながら。それだけに飽き足らず、
まだ、貴方を自分のいいようにしようとは…。
到底、許せはし得ないが、それも貴方は
お望みにはなられないのだろう?」
それは 彼に
私の夫だった男に 復讐がしたいのかと
そう 確認されているのだと気付いた
彼の 煉獄さんの言葉に
私は首を横に振った
「私が過去の事で
後悔する事があるのなら、
母の死に目に会えなかった事……
くらい……かと。悪いのは…、私ですから。
私が、妻としての務めを
果たせなかっただけの事……」
「ならば、子を成せずとも構わないし、
貴方が煉獄の名を気負うと言うなら、
苗字を変える必要もない。
極端に言えば、結婚すると言う形に
拘らないと言えば……?」
「そ、それは
内縁の妻と言う……事ですか?
でも、貴方のお家の事を考えるのであらば……
そうすると言うのも、ご無理のある話。
あの、本妻をお迎えになられて
その上で囲って頂く…と言う意味で…」
明らかに目の前の
煉獄さんが怒っている顔になったので
すいませんと謝った
「この仕事をしていればいつ死ぬか
分からぬ身ではあるが。
……人は死と直面した時に……
どうなるかご存じか?」
え?
今…さらっと 言ったけど
いつ死ぬか分からない様な
そんな仕事なの……?
確かに怪我をしてるのは
たまに見かけては居たけど
「煉獄さんのお仕事って……」
「俺は、杏寿郎だが?」
「あのっ、杏寿郎さんのお仕事って……」
「俺の仕事は、鬼殺隊……。
鬼を狩るのが、煉獄家に生まれし者の務め。
みくりさんは、鬼をご存じであられるか?」
「昔話ぐらいには……」