第85章 秋は巣ごもり 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
離れようにも 旦那さんの腕に
しっかりとホールドされてしまって居て
どうにも離れるに 離れられそうにない
もぞもぞと身じろいで
その腕から逃れようとするが
逆に固定されてしまって 逃がして貰えず
雑炊のいい匂いが 部屋に充満するから
何とも食欲をそそられてしまう
食べきれずに残っていた肩肉も
綺麗に解して 雑炊に入れてくれて
カニの身がたっぷり入った
カニ雑炊が出来上がって
仕上げに袋入りの海苔を袋の上から
くしゃくしゃに揉み込むと
その細かくなった海苔を雑炊の上に掛けると
『はい、これで、雑炊の完成になりますので。
こちら大変お熱くなっておりますので、
お気をつけてお召し上がり下さい』
「すいません、お世話になりまして」
雑炊が食べ終わる頃に
コーヒーとデザートを持って来て貰えるようで
用意されたお茶碗に
出来たてのいい香りの漂う
カニ雑炊を入れると
「美味しそうっ、と言うか、絶対美味しいっ」
「そうだな、カニスキの締めの
雑炊ほど、間違いがない物はないだろうな」
ふぅふうとレンゲの上の雑炊を
自分の息を吹きかけて冷ましながら
はふはふと熱そうにしながら
幸せそうな顔をして
みくりが雑炊を頬張っていて
「美味いか?みくり。
まぁ、その顔を見れば、
味の感想なんて、聞くまでも無いがな」
「美味し~い、カニ雑炊好き~。
どんだけ、お腹がいっぱいでも
食べられちゃうよ、美味しいもん」
土鍋に満タンにあった雑炊も
お代わりをしている内に無くなって
「食ったな、しばらく動けそうに無い位だ」
「そりゃーそうだよ、あれだけ
土鍋にいっぱいあった雑炊をさ
全部食べちゃったんだもん」
「満足したか?」
「うん、お腹いっぱいだよ。破裂しそう」
自分の首の辺りをみくりが
指で指しながら
「もう、カニが、胃から溢れて。
喉の、この辺まで来てる勢いだよ」
「そうか、奥さんに満足して貰えたんなら
俺も言った甲斐があったと言う物だからな」
丁度 土鍋が空になった頃に
デザートのカットフルーツが添えてある
アイスクリームと コーヒーが届いて
カニの残骸の広がる机ではなくて
窓際のテーブルと1人用のソファの2つある
そちらのテーブルに置いてくれて
2人の従業員の人が
手際よく空になった皿を
コンテナの中に片付けて行く