第85章 秋は巣ごもり 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
後頭部に手を回されて
もう反対側の手で手首を掴まれて
チュウ…っと強めに唇を吸われて
「んんっ、やっ…吸っちゃ…や、だッ」
「キス…後ならいいって言っただろう?」
キスしかしてないと言いたげに
杏寿郎が言って来て
るり渓自然公園でしていた話を出して来て
キスはしてもいいとは言ったけど
こんなもういつ誰かが来るか
分からない状況でしてもいいとは言ってない
「ドアに鍵かけてあるんだぞ?
インターフォンが鳴るまで…なら良いだろう?」
そう言いながら こちらに
お伺いを立てて来るキスは
手首を掴む力とは裏腹に優しくて
「ん、ふ…、ちょっとだけ…なら」
「ちょっとだけなら、良いんだな?」
それまで そうされない様にして
ギュッと結んで閉じていた
自分の唇の力を緩めて
彼の舌が侵入するのを受け入れる
ちゅ… ちゅ…く…
他に音のない部屋に
自分達の吐く息の音と
唾液と唾液の絡み合う音が混じって
その大きくもない音が 妙に耳に付いて
鼓膜を刺激して絡んで来る
キス…してるだけ それだけなのに
「ふ、んんっ、や、ぁ、杏寿…郎ぅ、
はぁ、ん、ぅ、んーーん゛んぅっ」
スッとそれまで 舌と舌を絡め合って
貪る様にして私の口腔内を
這っていた彼の舌が大人しくなって
それまでの 熱い情熱的なキスとは
正反対の
穏やかなキスに変わる
スルッと両方の頬を同時に撫でられて
その手がそのままこめかみの横から
スルスルと髪の間に入って来て
髪の毛を梳かしながら降りていくと
「はぁ…、杏寿郎…?」
「ここら辺で、止めておかないとな…。
これ以上、欲張ると、カニより奥さんが
食べたい気持ちが抑えられそうにないしな。
名残も惜しいし、不本意だが仕方ない」
ピンポー―ンと 部屋のインターフォンが 鳴って
ビクッとその音に反応して肩が跳ねる
「とりあえず、君はお手洗いにでも
そのまま、行って置くといい」
「え?おトイレ?…今は…おトイレは」
ギロッと睨む様な視線を向けられたので
どうしてなのかは聞かずに
そのまま 行きたくもないお手洗いに籠ると
頼んでいた冷酒が届いた様で
夕食の支度もこの後に
しに来ると言う事だそうだった
従業員さんが居なくなったのを確認すると
納得できない顔をしながら
みくりが行きたくもないトイレから戻って来て