第85章 秋は巣ごもり 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
エリアに充満しているスモークにも
青いライトの光が反射して
空間そのものが青い
青の世界に迷い込んだみたいだ
「どうせ、君の事だから
中条市でも同じようなのが出来ないかとか
そんな事を考えてるんだろう?」
「今は、それはいいの」
繋いでいた手を離すと
周囲が暗いからなのか
自分の腕を俺の腕にみくりの
方から絡めて来て腕を組まれる
「そう言う気分か?」
「いいじゃん、そう言う気分でも」
「そうか、なら…」
暗がりで周囲に誰も
居なかったのを良い事に
ちぅ…と数秒だけの
短い触れるだけのキスをされてしまって
「それは、そう言う気分って事でいいの?」
「何だ?奥さんは今は、
そう言う気分じゃなかったのか?」
「そうじゃなくて…、杏寿郎」
その名前を呼ぶ みくりの声に
この外の寒さに似合わない 熱を
帯びているのを感じ取って
「みくり」
「杏寿郎…?」
そうこっちの名前を呼びながら
見つめて来る その杏寿郎の視線に
今が昼間なんじゃないかって
思ってしまう程の熱を
帯びているのを感じてしまって居て
その熱い視線が 伏し目がちになって
杏寿郎の髪が 青く照らし出されていて
青い杏寿郎は…冬仕様だなっとか
そんな事をふと感じてしまいつつも
合わせる様にして瞼を閉じると
自分の唇に彼の唇が触れる感覚を感じて
「もっとと、言いたい所だが。
こんなイルミネーションの真ん中で、
奥さんが、歩けなくなるかも知れないしな」
ははははと冗談ぽく笑いながら
杏寿郎が言うとその先に進もうとしていて
「ホラ、みくり。
先進もう、置いてくぞ?」
光に導かれる様にして
イルミネーションのメインである
シナスタジアヒルズへと進んで行く
光と自然が融合する中に動物のオブジェがあって
ライトアップされた小高い丘に着いた
巨大なモニターにはデジタルアートの
幻想的な映像が映し出されていて
音と光と映像がリンクする様になっていた
「これは中々、見応えがあるな。
有料でこのエリアに入っても、
ここだけでも元が取れた気分になるな」
「イルミネーションは冬のイメージだけど、
通年楽しめるのも良いね」
身近な光の世界の旅から
元のるり渓温泉に戻って来る
「後は、部屋でカニ食べるだけだからな。
もう、顔と頭も洗うだろう?」