第85章 秋は巣ごもり 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
「え?いいの?杏寿郎」
「その代わり、どんな返事が来ても
不満や文句は言わない約束な?」
「もぅ、子供じゃないんだからっ。
自分の家じゃないのに、そんな事に
文句言わないってば」
「だったら、あの不動産屋にメールするか」
そう言いながら 読んでいた本を置いて
スマートフォンを操作し始めるから
「今、してる?」
「何だ?今したらダメなのか?
君は、それ、読むんだろ?
ああ、これ、身体に掛けるか?」
岩盤浴に行く途中だったから
下に敷くバスタオルを持って来ていたのを
身体に掛けるかと聞いて来て
私も岩盤浴するんだから
自分のやつあるのにと思いながら
「うん…、掛ける」
片手でメールを打ちながら
バスタオルを片手で広げて
横に向けると自分の腰の辺りと
こっちの身体を隠す様に
薄いオレンジ色のレンタルのバスタオルを
杏寿郎が身体に掛けてくれる
こっち 手空いてるんだけどな…
「と言うか、杏寿郎スマホ持って
岩盤浴入るつもりだったの?」
しばらくするとメールを打ち終わったのか
杏寿郎がスマートフォンを置いて
「持って入ってる人、居るだろう?」
音が出ない様にして通話しないで
使用するなら大丈夫って言うのは
昔言ってた岩盤浴の専門の所もなってたけど
「酸素カプセルにはスマホ、
持って入ったことあるけどさ」
「普通のサウナ程高温でも無いし、
大丈夫だろ?故障は自己責任だしな。
それに、現代人がスマホ無しで
岩盤浴のあの時間耐えるのは無理な話だろ?」
「メールしたの?」
「ああ。営業時間内に返事が来るだろう」
起こしていた身体を杏寿郎も横にして
すぐ目の前に杏寿郎の顔が来る
「巣ごもり…ぽいな」
「それは、このハンモックテントが
鳥の巣みたいだからって事?
確かに鳥の家みたいな形してるけどさ」
「これで入口が閉められた良いんだけどな」
むっと杏寿郎の言葉に
みくりが顔を顰めて
「杏寿郎、この中は本読むんだよ?」
「そうか、なら読もう。それ、美味そうだな」
「この、ローストビーフ丼のお店?」
ハンモックテントの中でうつ伏せになって
並んで一緒に同じグルメ雑誌を見る
「これ、いい感じのお店だね。古民家の」
じっと視線が目の前の雑誌でなくて
こちらに向けられて居るのに気が付いて
「こっちの、ここも美味そうだな」