第85章 秋は巣ごもり 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
「言って置くが、俺が悪いんじゃないからな?
奥さんが、俺を毎度毎度、煽るのが悪い。
そんな、表情をしながらそんな目をして、
そんな、仕草で、俺を煽るだろう?」
これで本人が全く持って無自覚で
俺を煽ってるつもりなんて
1ミリにもないと言うんだからな
「どう、責任を取ってくれるつもりなんだ?
この後、温泉所じゃなくなりそうだが?」
「ええっ、温泉行くのに?
やだぁ、温泉、入りたぃ~ッ」
「まぁ、そうだな。温泉に来て入らないのもな。
今一つ、腑に落ちないが。ここは仕方なく。
秋の、奥さんの水着姿で手を打つか。戻ろう」
それまでの距離から身体を少し離して
杏寿郎が駐車場に向かって行くから
「え?旦那さん、どうしたの?
ねぇ、言わなくて良かったの?」
「それは、まぁ、後でな?あの
勢いで言わせて居たら、俺がマズいからな」
何を言ってるのか分からないと
言いたげな顔をして
大きな目をぱちぱちしながら
首を大きくみくりが傾けていて
無自覚な上に無防備だから始末が悪い
自分の奥さんなんだが どうにかならないだろうか
「俺が思うになんだが、奥さんは…その。
俺を煽る事に関しては、天才的過ぎるな」
「それ、確実に誉め言葉じゃないよね?」
ニッと杏寿郎が笑うと
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられてしまう
「ちょ、止めてってばっ、
髪の毛ぐちゃぐちゃになるしっ」
「いいだろう?もう、温泉に入るんだからな。
纏め直すだろう?全部、アップにするだろ?
ホラ、早く来ないと置いて行くぞ?」
頭の裏で手を重ねながら
杏寿郎がドンドン来た道を戻って行って
慌ててその背中を追いかける
「いいや、誉め言葉だぞ?
それも、最上級の誉め言葉だな。
みくり、煽るのは、
俺だけにしといてくれないか?」
煽ってる自覚が皆無の奥さんには
言うだけ無駄な台詞だが
その無意味な台詞も言わせるのは
奥さん 君だからな?
「ねぇ、杏寿郎~」
追いついて来たみくりが
後ろからぐいぐいと上着を引いて来て
いつの間にか駐車場まで戻っていたんだが
「何だ?話したい事があるんなら
車に乗ってっからな?」
「杏寿郎は、煽られたいって意味?」
無自覚な奥さんは俺の言葉を
大いに曲解していたと気が付いたが
はぁっと杏寿郎がひとつため息を付くと