第85章 秋は巣ごもり 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
スッと杏寿郎の前に出て
抓られた場所を擦っている
杏寿郎を置いてそのままスタスタと
みくりが早足で歩きだして
元来た道を戻って行くから
手の甲を押えながら
杏寿郎が小走りに近い様な早歩きで
こっちに追いつこうとして追いかけて来て
その距離が埋まり切る前に
早歩きから小走りになって
追いかけて来る杏寿郎から距離を離す
「そんなに、怒らなくて良いだろう?
ちょっと、キスしただけじゃないか。
どうして、そんなに怒る事があるんだ?
俺と君とは、夫婦なんだぞ?」
「だからって、
どこでもキスしていいって訳じゃ!!」
そう杏寿郎の声のトーンに合わせて
こっちのトーンも上げていると
すぐ近くに人の気配がして
慌ててその続きを自分の口を塞いで止めると
何も言えない状態なのをいい事に
杏寿郎が耳元に口を近付けて来て
「………??」
「俺と、そうするのは嫌か?」
そう潜めに潜めた声で言って来て
そんな顔をして そんな目をして
こっちにお伺いを立てる様にして
見つめて来るのは…どうなの?
は?
は?
は?
「嫌な訳ないでしょーーーー!!」
「みくり」
「ん?何よ」
「声、大きいぞ?」
ニヤッと杏寿郎が厭味ったらしい顔をして
こっちを見ながらニヤニヤしていて
「前言撤回するし、杏寿郎の事好きじゃないし」
「それは酷くないか?ちょっと
揶揄っただけだろう?俺だって
その、奥さんに…だな。
そう言って貰いたくてだな、
言って居た部分はあるにはあるが…だな」
「とっ、兎に角、今はダメなのッ」
「後でか?」
「後でなら…、いいかな?」
「それは、どっちがだ?キスの方か
それとも好きって言ってくれる方か?」
「ちょ、耳っ、耳元で、
囁かないでってばっ……ちょ、杏寿郎?」
「でないと、拗ねるぞ?」
ヤダっ この大きな子供みたいな
旦那さん 非常にあざといいいっ
ぎゅっと縋り付いて来て
弱弱しい声を出すとか ズルい
そのまま首筋に顔を埋めて来て
首の辺りの匂いを嗅がれているのを感じる
「ちょ、杏寿郎さん?嗅いでない?
今、嗅いでない?それっ」
「キスもしてないし、言ってないだろう?」
違う違う違う 違うよ旦那さぁん
そうじゃないなら良いとかっ…じゃないしぃいい
「ダメッ、汗、掻いて…る、から…ぁ」