第85章 秋は巣ごもり 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
しばらくその景色を夫婦二人で楽しんで
「偶には、こう言うデートも悪く無いな」
「何々?大人のデートって事?」
杏寿郎がみくりの耳元に
口を近付けて来て
「しっぽりと、京都で大人の紅葉デートだろう?」
「やっ、しっぽりは
なんか厭らしい感じするしっ」
「落ち着いた感じのデートも、
偶にはいいなと言ってるだけだぞ?
それに、どうせ、夜は温泉に泊まるんだろ?
それこそ、夜は、2人でしっぽりするだろう?」
みくりがスマートフォンで
”しっぽり”について検索をして
確かに京都って付けると
しっぱり感がするのは気のせいではないけど
「何だ?しっぽりを調べてたのか?」
どれどれと表示されている
検索結果を杏寿郎が覗き込んで来て
「しっぽりと言うのは、
しっとりと全体が濡れるさま、
濡れて十分に湿り気を含むさま、
男女の愛情が細やかなさま、
落ち着いて静かなさま…の事を言うらしいな」
にやっとそう検索結果を
杏寿郎が読み上げると笑みを浮かべて来て
「杏寿郎?どうかしたの?」
「今のしっぽりは、落ち着いて静かな方だな?」
杏寿郎が周囲には誰も居ないのにも
関わらずに手でみくりの耳元を
隠す様にして覆って来て
「夜は、温泉に入って浴衣で…
しっぽりして、しっぽりとするんだろう?」
「いっ、言い方ッ…、杏寿郎の
言い方が意味深で、えっちぃんだよっ」
「良いだろう別に、夫婦なんだし。
さ、まだ入り口だぞ?先に進もう」
間に一眼レフで撮影もしつつ
自分達のスマートフォンで
一緒にフォトブック用の写真を撮ったりしながら
るり渓の散策を楽しむ
岩の上を滑る様に糸の様に流れる川と
滝の間の様に見える場所を通って
「こうやってゆっくり、愉しめるのも
平日の有給の特権だな。コロナで
旅行の為に長期の休みも取ってないが。
こうして、近場でゆっくりする為に
有給取るのも、悪く無いな」
「そうだね、空気も美味しいし、
水の流れる音も、癒されるね」
「こんな場所が、車で1時間ちょっとの
場所にあるんだもんな。ああ、この辺りは
オオサンショウウオが見れる場所の様だぞ?」
「今は天然記念物だから、食べれないけど。
オオサンショウウオはすっぽんと
フグの中間みたいな味なんだって。
上品な、味のすっぽんらしいよ?味」