第85章 秋は巣ごもり 後編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
杏寿郎とそんな話をしている内に
いつの間にか外の景色が山の
深い場所に入っているのが分かって
山道らしい曲がりくねった道になる
「もう、10分少々もあれば着くぞ?」
「るり渓、宝石の瑠璃の様に美しい景色だから
るり渓って言うんだね。どんなかな?」
「京都府のHPによると、るり渓谷は
標高500メートルに位置する、
園部川が高原の斜面を侵食してできた
長さ4キロメートルの渓谷の事らしいがな」
杏寿郎の言葉にるり渓自然公園の
HPを自分のスマートフォンで表示する
「その4キロのハイキングコースに、
るり渓12勝と呼ばれる、岩や滝が
あって、見どころになってるんだね」
そんな感じに話をしながら
車はるり渓谷自然公園の駐車場に到着した
お弁当は割と量があるから重たいので
杏寿郎が持ってくれると言ってくれたので
お弁当を杏寿郎に託した
紅葉のシーズンだけど
平日な事も相まって駐車場には
目立った混雑も無く車もまばらだった
駐車場でお手洗いを済ませて
渓谷の入口に向かって歩く
入ってすぐの場所には貴族出身の
名僧がここまで座禅を組みに来ていたと
言われている座禅石があり
その隣には説明書きの看板が立っている
サラサラと小川が流れるせせらぎの音と
鳥のさえずりが聞こえて来る
ひんやりと肌寒い済んだ空気を吸い込んで
ここで座禅を組めば集中出来るのかも知れない
「どうだ、座禅、組んで行くか?」
「組まないよ、と言うか滝があるね
滝の音がするよ、凄い滝の大きさの割に
音が響いて聞こえるね」
「この滝は、鳴瀑と言って、滝の裏側が
空洞になっているから、
滝の落ちる音が響いて聞こえるんだな」
とうとうと滝の落ちる音が聞こえて
その滝のすぐ近くの崖の斜面に
生えている木々が鮮やかに紅葉している
「ねぇ、見て。凄いね、この辺りの景色」
「錦繍巖(きしゅうがん)と言って
この辺りは、紅葉の今のシーズンは
錦を縫い取った様に美しいと言われてるらしいぞ?」
「やっぱり、紅葉は京都なんじゃない?」
そう言いながらみくりが
杏寿郎の肩にもたれ掛って来て
錦の織り成す 色とりどりの繊細な
色の移り変わりを2人で並んで楽しむ
「いいもんだな。京都の市内の
紅葉が有名だが、市外にもこんな
景色が楽しめる場所があるんだな」