第21章 惣菜屋さんと煉獄さん 後編 お相手:煉獄杏寿郎
ふっと目の前に
ふわふわとした雲が表れて
それが綿菓子だと気が付いた
「どうぞ?お嫌いでなければ…の話だが」
「ありがとうございます…」
煉獄さんが差し出して来た
綿菓子を受け取ると
その白い綿菓子にかぶり付いた
懐かしい 甘さが
口の中に広がる
あれ?でも…
「あの」
「どうか、なさいましたか?」
「煉獄さんの、分は……?」
「ああ、それでしたら。ご心配なく」
そう言って
私が持っている綿菓子の
まだ口を付けていない方向から
煉獄さんが綿菓子にかぶり付いて
「甘い…ですね」
そう言った
「あ、……あのっ。煉獄さんっ
その、私が…口を付けたやつですよ……?」
「何を仰るかと思ったら、そんな事か。
昨日の夜に唇を重ねた仲だと言うのに。
しかし、それをお気になさるとは……。
やはり貴方は、可愛らしい人だ……」
可愛らし…い?
今 可愛らしいって言ったの?
「あまり、からかわないで下さいまし。
私は、その様な歳ではありませんし…。
そんな、可愛らしいなどと
…到底言える様な物では……」
「だが、俺は感じた事を言ったまでですが?
貴方が可愛らしいと、
感じたからそう言ったんだ。
みくりさん、……貴方は可愛らしい。
可愛らしいだけでなくて、魅力的な女性だ…。
それもとても…」
「また、その様なお戯れを…。
私ではない、どこぞのどなたさんにでも。
その様な事は仰ったら如何です?」
「何故。貴方はそう仰る?
俺は…、貴方にしか、
そうは言ったりはしないが?」
どうして この人は
こうも 次から次へと
こんな言葉ばかりが
思いつくのだろうか?
「あまり…、からかわないで…
下さいな。その様な事ばかり…」
彼の言葉の全てが真実なのか
そうでないのかも……読み切れない
「だが、久しぶりに来てはみたが……
祭りは悪くないですね……」