第84章 秋は巣ごもり 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
銀杏は明日また改めて拾いに来る事にして
銀杏並木が途切れるまで歩いて
ピタッとみくりが
立ち止まると後ろを振り返っていて
「どうした?みくり」
「ううん、ここからだったら
丁度勾配もあるから綺麗に
銀杏の並木が見えるなって。
ねぇ、杏寿郎さ、そこ立ってよ?」
と少し戻った場所を指差しながら
みくりが言って来るから
言われた場所に杏寿郎が立つと
スマートフォンで俺を撮り始めて
「杏寿郎はさぁ、紅葉と相性良いよね?
何と言うか、絵になるって感じする」
「君には、写真の趣味があったか?」
「ある訳ないじゃん、そんなの。
でも、ほら、良い感じだよ?
杏寿郎の今の服装と銀杏の色がさ」
赤と言うよりはボルドーの様な
深みのある落ち着いた色合いの
赤のメンズニットに黒のメルトンコートに
ミルスグリーンのカーゴパンツ
「ねぇねぇ、杏寿郎」
「今度は何だ?みくり」
「視線、この辺りでさ
寒そうな感じに片手でコートの襟立ててよ」
ここに視線をくれと合図して来て
言われるままに指示された
ポージングをすると
シャッター音がして
じっと撮影した画像をみくりが
眺めて嬉しそうな笑顔になると
スマートフォンを持ってこっちに小走りで
ほらほらと見せつけて来るが
押し付けるような勢いで向けられても
近すぎて見えないのだが
「見てッ!杏寿郎大変っ」
「見えない、近すぎるだろう」
「ホラホラ。私の旦那さんが男前過ぎッ」
「ん?そうか、俺は俺だろう?」
「これ、待ち受けの画像にする」
「そんなの、待ち受けにしなくても
奥さんには本物の男前の旦那さんが
居るだろう?意味なくないか?」
「でもさぁ、杏寿郎さ。
前のアクアトピアの時も
クインテットの時もだけどさ。
モデルの仕事も様になってたけどなぁ」
グイっと腰に杏寿郎が腕を回して来て
身体を杏寿郎の方へ引き寄せられると
「みくり、撮るぞ」
空いてる方の手で杏寿郎が
自分のスマートフォンを構えていて
そのまま インカメラのハンズフリーの
連射を使って 数枚 銀杏並木をバックに
2人で一緒の画像を撮影する
「一眼レフのデジカメも、
ひとつ、持ってるには持ってるが」
「杏寿郎、写真撮る人だったけ?」
「俺じゃなくて、弟の方の趣味な」