第84章 秋は巣ごもり 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
繋いでいた手をぎゅううっと握って来て
そのまま杏寿郎の腕に自分の身体を
押し付けて来るから
「当たってる…」
「違うよ、ひっついてるんだってば」
自分の腕に胸が当たってると
杏寿郎が指摘して来るが
胸を押し付けてるんじゃないと
みくりが杏寿郎に返して来て
「押し当ててるんじゃないのか?」
「ちっ、違うって言ってるでしょ?
そんな顔して見ないでってっば。
杏寿郎が、ここ私と、一緒に歩きたいって
思ってくれてたのがさぁ?
この景色を一緒に電車の窓からじゃなくて
見たいって思ってくれてたのが
嬉しかったってだけだからだもんッ」
「みくり」
そう言って不満を露わにして訴えかけると
じっとこちらを見ている杏寿郎と目が合って
名前を呼ばれて 黙り込んでしまって居ると
ちぅ…と 鼻の頭に杏寿郎の唇が当たって
キスと呼べるほどのキスでは無かったけど
「こっちよりも、唇の方が、良かったか?」
「そっ、そりゃあ…、まぁ、そうかも?
あっ、えっと、そのっ
ちっ、違うしッ、しっ、知らないけどッ」
こっちの質問に流れで答えてしまって
恥ずかしくなってしまったんだろうが
「俺は、奥さんのそう言う所が
可愛らしいと思うし、好きだけどな」
「知らんけど?ねぇ、知らんけどは?
今っ、今のにッ、知らんけどつけといてェええッ」
「いーや、だめだ、付けない。
俺は知らんけどは使わない男だからな」
ギュウウっと手を杏寿郎が握って来て
一気にソワソワと落ち着かなくなってしまった
「ううぅ゛…ッ」
奥さんは恥ずかしがり屋さんだから
俺が惜しげもなくそう言うのを言うのは
奥さんからしたら耐え難いらしいが
俺としては そうして
恥ずかしがっている奥さんを見たいしな
「みくり、するか?キス」
「え、あ、ここ…で?する…の?」
「一瞬だけならいいだろう?」
スルッと頬を杏寿郎の指先が撫で下ろして
ほんの一瞬だけの触れるだけのキスを
杏寿郎がして来て
ぎゅっと杏寿郎の上着を
自分の手で握りしめてしまって居て
「また、キスの続きは家に戻ってからだな。
でないと、こんな道の真ん中で
深い方をしてしまいそうだしな、今はダメだ」
むぅっと口を不満そうに尖らせていたので
やっぱり俺の奥さんは可愛いなと
そんな風に杏寿郎は感じて居た
「え~、キスは?」