第84章 秋は巣ごもり 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
「でたな、関西人の言い逃れワード」
「杏寿郎だって、京都なんだから
知らんけど、言ってもいいのに言わないじゃん。
それに知らんけどは、
そんなに悪い意味じゃないってば。
会話の中で相手の持ってる疑問に対して、
自分が知ってる事の範囲の中で
答えてあげたいし、教えてあげたいけど、
その情報のソースが不確かな時に付けるんだってば」
「俺は、そんな不確かな返事は返さないからな」
もう確かにこの旦那さんには
グレーな返事は無いのかも知れない
それが杏寿郎が”知らんけど”を
使わない原因なのかも知れないけど
「まぁだが、今は知らんけども
関西だけじゃなくなって来てるけどもな。
割とSNSとかでは多様されてるもんな。
知らんけどは今は全国展開だぞ?知らんけど」
「あっ、わざとらしいっ、今のッ、
知ってるのに、知らんけどじゃん今のっ」
知らんけどはあくまで不確定に
対して使う物だと言われてしまったが
「で、俺の知らんけどはいいとして、
うさぎのおやつは決まったのか?」
「また今度にする、だって、荒木さんちの
ウサギが林檎好きなのか、トウモロコシ好きなのか
ウサギちゃんの、好み聞いて無かったからさ。
あ、でも冷やかしになるから、これ買おうかな」
そう言ってフリーズドライになった
人参のおやつをみくりが
こちらに見せて来てレジに持って行く
ウサギは人参なら間違いないと思ったんだろな
知らんけど
ペットショップを後にして
また手を繋いで歩き始める
二田は住宅地だから
歩道とか道路は綺麗に整備されていて
「ああ、そうだ、あっちの通りを歩こう」
こっちの通りじゃない通りを
杏寿郎が歩こうと提案して来て
大きな公園に面する通りの方を通って
河川敷を目指す事にしたんだけど
「わぁ、凄いね、この通りの街路樹は
イチョウばっかりなんだね」
イチョウはピークを少しばかり
過ぎていて散りかけていたが
地面には黄色い絨毯が広がっていて
「ああ、ピークは少し過ぎてるが
電車に乗ったら窓からここが見えるだろ?
車窓から見るだけじゃなくて、
この通りを君と歩いても良いなと思ってたんだ」
「知らんけど?」
そう恐る恐る聞いてみると
「それは知らんけどじゃないぞ?みくり」
杏寿郎のその言葉にみくりが
へへへへ~っと嬉しそうに笑って