第83章 秋は巣ごもり 前編 お相手:煉獄杏寿郎 現代パロ
自分がそんな事をぼんやりと
考えていたタイミングで
杏寿郎がこちらにそう言って来て
「杏寿郎って、エスパーだったりする?」
「図星か?真面目な君の事だろうから、
そんな事だろうとは思ってたけどもな。
たまたま、今回のは
タイミングが悪かったんだろうな。
俺は君と、久しぶりに一緒に飲めて。
それはそれで嬉しかったけどな」
そう言ってよしよしと
その手に頭を撫でられる
「それは、私も同じ気持ちだよ?
白浜の時も、折角旅行来たんだしさ。
ナギサビールの工場にさ、見学行ってさ。
杏寿郎と一緒にビールの試飲とかさ、
代行頼んで。したかったなぁって。
その、妊娠しちゃってもさ。
遠慮して、合わせてくれなくてもって」
「またその話か?みくり。
君がせめて俺は飲んでくれてもと
思ってくれるのは有難いんだがな。
子作りは一緒に出来ても、結局
妊娠してしまえば。
家の事の、手伝いは出来たとしても。
変わってやる事も俺には出来ないからな」
コツンと杏寿郎が額に自分の額を合わせて来て
「それはね、女に生まれたからにはね。
自分がすべき大事な人生のお仕事だと思うよ?
一生の内でもね、きっと、1回とか2回とか
多くても、3回4回まででしょ?」
「2回が希望だって、言ってた様な気がするがな」
子供は二人を希望してただろうと
みくりの言葉に杏寿郎が返して来て
そこじゃないと言いたげに
みくりが顔を顰めて
不満そうな顔でむくれている
「もう、そこじゃないってば。
ちゃんと、最後まで聞いてよ杏寿郎。
それを自分が経験出来るのってね。
自分の人生の中でも、限られてると思うの。
その大事な時間をね、一緒にさ。
赤ちゃんの一番近くでね。過ごせるのは
幸せな事なんだろうなぁって思うんだよ?」
「…そうか、なら、そうしてやらないとな」
「今はッ、そうならないってばっ。
もう、するのは、生理が済んでからッ。
今しても、出来ないからね?無理だからね?」
「なら、俺は、それを感じて
幸せそうにしてる君を、
一番近くで見られて幸せだって事だろう?」
そんな事を話して居ると
赤ちゃんが欲しいって気持ちが
お互いの中にふつふつと沸いて来てしまって
「まだ、有給…、残ってたよな」
「残ってるには、残ってるけど…。
もしかして、杏寿郎。今月も有給取るつもり?」