第20章 惣菜屋さんと煉獄さん 中編 お相手:煉獄杏寿郎
トキのその言葉に
杏寿郎がふっと微笑を浮かべて
納得したと言いたげに 頷いた
「成程、流石は…
年の功……と言う所でしたか。
貴方からは全てがお見通しのようだ。
でしたら、……俺からは何も言うまい」
「しかし、物好きだねぇ。アンタも」
「なぜ、その様に仰られる?
彼女は素晴らしい女性だと
俺は認識しているが?いつも笑顔で、
真面目で商売熱心だ。客ひとりひとりと
向き合って、商売しているからこそ。
彼女の惣菜と、あの笑顔に何度救われた事か…」
「だから、ずっと
みくりに求婚してたのかい?」
「彼女に救われた事を、
お返ししたいと考えての事。
俺が、18になったので
結婚できる年になりました故」
杏寿郎の言葉に
今度はトキがふっと微笑を浮かべて
納得したと言いたげに 頷いた
「成程ね、そうだったって事かい」
「俺が、もう2年ほど
早く生まれていればもっと早く、
そう出来ていた所ではあったが。
そればかりは、
俺にもどうしようもないので」
「それは、煉獄さん。アンタから
私じゃなくってあの子に言ってやんな?」
ほどなくして
店の奥からみくりがこちらに
戻って来るのが見えて
杏寿郎がトキの言葉に
言葉でではなくて 頷いて返した
「もう、お済になられたか?みくりさん」
「あ、はいっ。すいません。
お待たせしてしまいまして。
もう大丈夫です。」
「みくりさん」
スッと煉獄さんが
私に向けて手を差し出して来て
その手を取る様に
煉獄さんの視線が促して来る
「ならば、参りましょうか?」
そっと差し出された手に
自分の手を重ねる
そのまま 手を取られてしまって
店を後にした