第20章 惣菜屋さんと煉獄さん 中編 お相手:煉獄杏寿郎
トキが一人 店に残される
トキが自分の視界にかかる
何かを怪訝そうな顔をしながら
ふぅーっと口をすぼめて
息を吐いて吹き飛ばす
「全く、アンタ等は置いかれちまってんだよ?
さっさと、飛んで行きな。ここじゃないだろ?」
しっしっと まるで 空中に舞う
埃か何かを払う様にして追い払う
「それにしたって、物心ついたころから、
私にゃぁ、コイツ等が見えちゃあ居たけども。
あんなに沢山、くっつけてんのは
初めて見たよ…。よっぽど
好かれてるんだろうねぇアイツ等に」
腰に両手を当てて
ふぅーっとため息をトキが付くと
それから ふっと笑う
「だけども。だ。あんなけ居りゃ、
安心ってもんさ。きっと、上手く行くよ
……アイツ等は嘘はつかない」
トキが右手の平を広げると
その手のひらの上に
ふわふわとした
白い綿毛の様な
コイツが1匹 降りて来る
「何だったけか、アンタの名前…
確か、袈裟がどうとか、こうとか……。
ああ、やだねぇ。こんな時に
思い出せやしないよ……。歳かねぇ。私も」
ガラガラと店の戸を開くと
店の中に溜まっているそれを
追い払う様にして追い出した
「ああ。思い出した。あれだ。
幸せの虫の名前…、ケサランパサラン」
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実は、この話のタイトルは
「幸せのカタチ」にしたかったんだけど
きっと同じタイトルの話が、沢山ありそうだ。
と思ってやめました。きっとある。見てないけど。
長編でなくても、短編でもありそうだもん。
で、この話の2大キーアイテム?
キーワード?となる存在が、白い朝顔と
幸せの虫とトキさんが呼んでいる。
そう、ケサランパサランです。
何か兎の毛の塊みたいなので、
白粉を餌にして育てる事が出来るらしく。
飼育すると、増えるのだとか。
ケサランパサラン。
江戸時代から存在が確認されてるとかで。
妖怪だとされていたのだとか。