第20章 惣菜屋さんと煉獄さん 中編 お相手:煉獄杏寿郎
その代わりに
私の視界に入って来たのは
夏の太陽の様な
笑顔をした 彼で
その笑顔が 私の顔を見るなり
少しばかり申し訳なさそうな
そんな笑顔になって
「申し訳…なかったのですが。
俺とした事が、時間を…
ご相談しておりませんでした。
早く、来すぎてしまっただろうか?」
「なぁーに。丁度良かったさ。
支度が整った所だったからね?」
トキの言葉に申し訳なさそうにしていた
杏寿郎の表情が明るくなる
「そうでしたか!なら、良かった。
些か早すぎるかと、心配していたが。
先にこちらだけでも、お届けにあがろうと……。
お訪ねさせて頂いたまでだったのだが…」
そう言って杏寿郎は
徐に懐から分厚い封筒を取り出した
「みくりさん。
その目でご確認をして頂きたい。
ここに確かに250万、あるはずなので」
「みくりから、話は聞いたんだが、いいのかい?
そんな大金。おいそれと出しちまって。
念書の一枚でも、用意してくれてるのかい?」
トキの言葉に杏寿郎が
目を見開いて瞬かせる
「念書?いや、その様な物は用意してないが?
何か、問題がありましたか?
何度か顔はお見掛けした事があるが。
貴方は……みくりさんの」
「ああ。私は、佐伯 トキってんだ。
みくりの叔母だよ、この子は私の姪さ。
で、この店は私の兄の店だったもんだからね」
「ああ、それででしたか。
ここの惣菜は絶品だからな。
俺は、こちらの、
存続の危機とお伺いしまして。
客のひとりとして、出来る事をしたまで」
そう言って
トキに笑顔を向けた
「そうかい。そう言う事なら、
私からは何も言わないよ。
みくり、甘えさせて貰えばいいだろうさ」
そうあっさりと
トキ叔母さんがそれを許可したのを聞いて
先程よりも 驚いた表情を
煉獄さんがしてたのは
私からは 見えていたのだが
それを煉獄さんが
驚いて 面食らってしまったのは
それは その あれだ……