第82章 偶にはこんなデートでも… お相手:不死川実弥 現代パロ
こんな所でッと思って不死川の顔を見ると
自分のスマートフォンを振って見せて来て
どうやらアプリを起動すると
自動的にBluetoothが接続されるらしくて
今の振動は
私の中にあるクジラがきちんと
Bluetoothで接続できましたと
知らせる為の振動の様だった
私がソワソワとしてるのは
不死川さんの目から見ても分かっただろうから
「んじゃ、行くか」
小さな子供に大人気のチンアナゴと
ニシキアナゴの水槽を眺めていても
腰に回した手でスリスリと仙骨を撫でて来て
キュっと自分の中が軽く締まると
控え目なサイズながらに自分の中にある
クジラちゃんの存在感が増して来て
ピク…っと小さくみくりの身体が跳ねる
小さいながらに楕円形に張り出した水槽には
マイワシの大群が渦を成して泳いでいて
その銀色の身体がライトを受けて
キラキラと輝いている
ぬっとそのマイワシの大群が割れて
クルクルとせわしなく泳ぐマイワシとは
対照的にゆったりと泳ぐコブダイが姿を見せる
『コブダイっ!コブダイっコブダイ!
見てッ、おかぁしゃ、コブダイいるッ!!』
齧り付きでそのマイワシの水槽を見ていた
小さな子供がマイワシの中から
コブダイが姿を現す度に大きな声を上げて
水槽の中のコブダイを指差していた
水族館の館内には子供が多いせいか
がやがやと賑やかな声や音がする
ブブブッっと僅かに自分の中のクジラが
小さく振動してビクッと身体が反応する
「…ッ、不死…川、さん、あっち…ッ」
すぐ前に小さな子供が居たのを気にしてか
移動しようとみくりが提案して来て
マイワシの水槽からはそう離れて居ない
大きなタツノオトシゴに海藻が付いた様な
ウィーディーシードラゴンの水槽の前に移動する
見た目は大きめのタツノオトシゴだが
丁度隣の水槽に展示されているヨウジウオの仲間だ
その水槽の先には カラフルな南の海を
イメージできるような円形の
このエリアのメインの水槽である
サンシャインラグーンが見えて来る
水の青さと 沢山の色々な形のサンゴ
真っ白の砂とカラフルな魚達の
コントラストが美しい水槽だ
その大きな水槽の中でも
大型で存在感のある優雅に泳いでいる
身体にドットの柄の入った
トラフザメが一際目を集めて居て
『あのおっきいおしゃかな、何~?』