第20章 惣菜屋さんと煉獄さん 中編 お相手:煉獄杏寿郎
そう言って
みくりの背中を力強く
バンバンと音が出るほど叩いた
「さっさと、化粧して来な?
折角来たんだ、着付けてあげるよ。
どうせだったら、飾り結びにして行きな。
トキさんが、風船太鼓に結ってあげるよ」
「ええ?風船太鼓?子供ぽくならない?」
「なぁーに、心配要らないさ。
無地の両面帯ならね…落ち着いて見えるよ
ホラ、御覧よ。あの浴衣に合いそうだろ?」
そう言ってトキが帯を袋から
取り出してみくりに見せた
落ち着いた明るさを落とした色味の白の帯で
もう反面は落ち着いた紫をしていた
確かにこの帯なら
風船太鼓にしても
子供っぽくならないし
あの浴衣に とても似合いそうだった
そんなに使い込んでる感じでもないが
新品でもなさそうだ
もしかして……と思って
みくりがトキの方を見ると
「そうだよ、私が若い時の帯さ。
もう私のこの胴には合わないからね。
貰ってやってくんな」
そう言ってははははと笑いながら
トキが自分の腹を叩いた
思わずそのトキの仕草に
みくりが噴出して笑ってしまった
「さぁさ、さっさと支度しないと
お迎えが来ちまうよ?みくりちゃん」
さっさとすると促されて
化粧を整えて
自分で着れるから大丈夫と言ったのに
トキに浴衣に着付けられてしまった
トキが宣言していた通りに
帯はその白と紫の両面帯で
風船太鼓に結われてしまった
形が少々 子供子供してしまわないかと
心配していたけど…
落ち着いた色見のお陰で
そう浮いたような感じではなくて
「ね?ホラ、言った通りだったろ?
似合ってる…じゃないのさ。その浴衣」
姿見の後ろに
トキが映っているのが見えて
浴衣姿のみくりを見て
満足そうに頷いていた
「ああ、ちょっと待ちな、ここ…直すから」
そう言って 少しだけ寄った皺を直される
「もう、それぐらい自分で直せるのに…」
「いいんだよ。うちには娘は居ないしね…
アンタは、私からすりゃ、娘みたいなもんさ。
楽しんで…、来なよ?祭り……」