第80章 そうだ、和歌山へ行こう! 中編 お相手煉獄杏寿郎 現パロ
ちゅ…ぅ と手の甲に繰り返し
落とされていた杏寿郎のキスは
今は 私の手に手を添えて
少しばかり持ち上げると
私の手の指の 指先 1本 1本に
丁寧にキスをして行く
指腹から 指をそのキスが降りて
今度は手の平にキスをされて行く
「ね、ねぇ、杏寿郎…ッ、
もしかして、こんな感じにずっとするって事」
彼の中での これ以上ない位に
優しく紳士的に私を可愛がると言うのは
全身に…こんな風にして行く…って事?
「どうしたんだ?みくり。
そんな顔をして、俺がそんな風にするのが。
俺らしくないとでも言いたいのか?」
サラっとみくりの髪を一束
杏寿郎がその手に掬い取ると
恭しく掬い取った髪にキスを落とす
「ん、ねぇ、しない…の?」
「ん?しないって?今、してるだろう?」
「い、いつも通り…でいいよっ、
なんか、変な感じがして落ち着かない…もんッ」
「なら、優しく…紳士的に
じゃなくてもいいって事か?
いつも通り…に、してもいいんだな」
こちらを見る 彼の目が
変わった様な気がして
無意識に彼との距離を取ろうとして
トンっと自分の背中に部屋の壁が当たる
離れようとした分の距離を詰められて
杏寿郎と壁の間に挟まれる様になる
「どうしたんだ?
まだ俺は、君に何もしてないぞ?」
そう言いながら こちらを見るその視線に
貫かれて射貫かれる
服をちゃんと着てるのに
丸裸にでもされて居る様な
そんな風にその視線を
自分の身体の皮膚で感じてしまって居て
思わず 見えてないのだが
自分の腕で自分の胸を隠してしまう
今更なんだけど 何度もしてるんだから
夫婦なんだし 今朝だってしてたのに
杏寿郎がみくりが
自分の胸を隠す様にして
胸に当てていた腕の上に
杏寿郎が自分の手を当てる様に置いて来て
そのまま 彼が身体を寄せて来るから
グッと背中を壁に押し付けられてしまう
私の手の上に当てている手を
そのまま手の平で押さえ込んで来て
まだ 何もしていない
その彼の言葉の通りにまだ何もされてないのに
自分の胸が騒がしい
じりじりと追い詰められていて
逃げ場は無いし
そこまでの拘束ではないし
身じろげば振り払える物なのに
逃げられないとそんな風に感じてしまって居て
まだ何もされて居ないのに
ゾクゾクっと背筋が震えるのを感じる