第20章 惣菜屋さんと煉獄さん 中編 お相手:煉獄杏寿郎
「ハハハハハハハハ。
みくりさんは、面白い人だ」
「面白くなんかありませんよっ、
そんなの無理です。
ダメに決まってますよ。
そんな事しても煉獄さんに
何も得になる事が……」
「なら、差し上げよう。
それなら問題はないでしょう」
さも当然とでも 言いたげに
言われてしまって 問題がないように
されてしまっているが
こっちの立場からしたら
問題しかない それも大問題だ
差し上げようと
軽々しく言われてしまったが
どこの世界に おいそれと
250万なんて大金をくれる人が居るのか
「も、問題しかないじゃありませんか」
「俺にはないが?」
「いや、ありますでしょ。色々……」
「なら、買われる方がいいと?」
沈黙がしばし続いて
「頂く……訳には、
行きませんので……。あの、でしたら…、
お借りすると言うのは…ダメですか?」
「ああ。ならそうしよう!それで解決だ。
でしたら無利子、無担保、無期限で…
どうでしょうか?」
「あの、煉獄さん……」
みくりがそう杏寿郎を呼んで
キュッとその羽織を引いた
「どうか、なされましたか?みくりさん」
「あの、お言葉なのですが……煉獄さん。
無利子、無担保、無期限で借用するのは
頂くのと…、同じ意味なのでは?その…
何か私からお支払いをしなくては。
割に合いません…が?」
屈んでと彼に言って
その着ている
隊服の胸元をギュッと掴んで
自分の方へ手繰り寄せる
そのまま 煉獄さんの唇に
自分から唇を寄せた
重ねて押し当てた唇を離すと
すぐ目の前にある赤い瞳と
視線がぶつかってしまった
「これが、…その、支払いであると。
成程…。これはなかなかに……驚いた」
そう少しばかり
驚いたような様子で
自分の口元押さえつつ
煉獄さんがそう漏らして
そして
ふっと笑みを浮かべた
「そうであるのなら、もう、少しばかり…
俺としては、弾んで頂きたい所であるが…」
「足りないと……、
仰りたいのは、分かってます…」