第80章 そうだ、和歌山へ行こう! 中編 お相手煉獄杏寿郎 現パロ
みくりに尋ねたくなる様な
そんな妄想の話を始めるが
「んでね、泣いてる所にね…
いつも一緒にトレーニングしてる
イルカがね、大丈夫?ってして来るのッ」
「…って言う妄想の話だろう?」
「そうだよ、そんな勝手な
バックストーリーを考えちゃうの。
考えようとしてるんじゃないのっ」
「俺はそうはならないから、
君のその話には共感はしかねるが…。
素直に目の前のショーを楽しめばいいだろう?」
むぅっとみくりが口を尖らせると
「見てるからっ、ちゃんとショー観てるもん」
ショーの最中に妄想に明け暮れている…
と言う訳ではなくて
見せ場の大技が決まれば 拍手をしているし
タイミングでは他の観客と同じ様に
歓声を上げたりしているが
その合間 合間に 涙を拭いていたので
イルカショーのどこに泣く要素があるのか
俺にはさっぱり理解が出来ないが
本人が言うにショーは凄いと思うし
観てて楽しいんだけど 泣いてしまうのは
悲しい訳でも感動してる訳でも無いらしい
「…うぅ…っ」
前の大きなスクリーンに
ドキュメンタリーの様な
無音の映像が流れて来て
ティッシュで目元を押さえていた
みくりがキョトンとした顔をして
「杏寿郎…っ、あれっ…」
その大きなモニターのミニドラマと
会場で流れるナレーションの内容が
多少の内容の違いがあれども
みくりが杏寿郎に対して話して来た
妄想の内容に近い様な物で
「何?私の、妄想の具現化?」
「いや、ツッコむ所はそこじゃないだろう?
要するに、君がイルカショーにしてるような
妄想をしてる人が居るって事じゃないか?」
「まさかの、オフィシャルが
妄想の内容を脚色して、
バックアップしてくれるシステム?」
「でも確かに、こう言うドラマみたいな
演出を挟んで来るイルカショーは
俺もあちこちで観た事があるが初めてだな」
そのミニドラマの中に出ていた
トレーナーの女性が
イルカの鼻先に乗って
プールをクルクルと客席に手を振りながら
派手に水しぶきを上げて移動して行くと
プールの中央から イルカに押し上げられて
ジャンプして
その両サイドからも 6頭のイルカが
トレーナーの着水のタイミングに合わせて
ジャンプをする大技を決めて
客席からはわぁっと大きな歓声が上がる