第80章 そうだ、和歌山へ行こう! 中編 お相手煉獄杏寿郎 現パロ
そんな話をしながら千畳敷を後にして
そこからほど近い場所にある
和歌山の名勝の三段壁を目指す
三段壁は長さ2キロ 高さ60メートルの
断崖絶壁の名勝だ
その近くに 口紅の碑と言う石碑があり
病苦と義兄妹 許されぬ恋に
その石に
”白浜の海は今日も荒れている” と口紅で書き残し
2人で 海に身を投げたと言う場所で
石に刻まれている文字は
その翌年の同じ日に彼等の友人が人に頼んで
その口紅で書かれた文字をなぞって
刻み込んだ物らしいが
「でも、義理の兄と妹だったんなら…。
結婚する事だって出来たんじゃないのかな…」
「その辺りの、彼等の家の事情までは
俺にも分からないがな。何故だかこの
悲恋の舞台がカップルや夫婦で
この口紅の碑に触れると末永く
幸せになれると言う噂になってるらしくてな」
触れて行くかと言いたかったが
どうにも そんな感じの顔を
その石碑と海に向かって
手を合わせていた
みくりはしていなかったので
そっとその肩を抱き寄せると
「きっと、結ばれてるさ。
命を掛けてまで、2人が願った恋なんだからな」
「うん、そうだね…。そうだったらいいな」
そのまま 来た方に戻ると
小さいながらに整った日本庭園が見えて
「上からじゃなく、下からも見るか?」
「下から?」
この三段壁の地下36メートルにある
三段壁洞窟は源平合戦の時に
熊野水軍が船を隠した場所として
伝承が残されて居る史跡で
荒々しい波が 洞窟に押し寄せる
ダイナミックな光景を見る事が出来て
「凄いな、中々に見ごたえがあるな」
「迫力ありすぎ。
しぶきも凄いけどッ、音も凄いね」
その圧倒される光景に
さっきまでの沈んだ様子も無かったので
ちょっとここに来たのを後悔していたが
いつもの様子のみくりに 一安心したのだが
再現された熊野水軍の船や
番所を見る事が出来る
1周約30分の 200メートルの洞窟だ
地下36メートルの世界から地上に戻ると
恋人の聖地がここにもあると言って
海に面した ハートのモニュメントに
南京錠を掛けられるようだった
「折角、白浜まで来たんだし。
2人の硬い解けない愛でも誓って行くか?」
近くの売店で ここに付ける
南京錠を売っているらしく
ここまで来たからと言われて
南京錠を購入した