第20章 惣菜屋さんと煉獄さん 中編 お相手:煉獄杏寿郎
一旦言葉を区切ると
更に彼が続けた
「……しかしながら、そうでもしなければ、
貴方は頑なであられるから、口が裂けても
…お話頂けないかと思いまして。
違っていただろうか?」
彼はそう言うと
少し不安げな
微笑を浮かべて見せた
「俺に、貴方の表情を曇られせている
その原因についてお話して…、
頂けるだろうか?みくりさん」
そうでなければ…と煉獄さんが言って
そうでないとするのなら
どうであると言うのか
いや 言わなければ
更に口付けると
その彼の視線が言っている
「でも、そうは言われましても……」
「なら、口付けるまで……になるが。
貴方はそれで……、構わないと…?」
スッと彼が目を伏せたかと思うと
目を開いて
「れっ、煉獄さ…っん…、あのっ」
それから こちらを見て
笑った
「だから、俺は言ったではないですか。
みくりさん、俺は悪い男だと……。
付け入る隙を……、俺の様な男に
見せてはいけないと…。」
嘘だ……
煉獄さんは
きっと 悪い男の人なんかじゃなくって
「みくりさん…」
そう名前を熱い声で呼ばれて
彼の視線に捉えられてしまって
その視線から視線を逸らせない
「俺はそう、貴方に忠告していた……はずだ。
違っていた…でしょうか?」
その言葉なら 確かに聞いたけど
その時の言い方とは
今の言い方は明らかに意味が違っていて
私だって 知ってる
本当に悪い男の人は
自分の事を 悪い男だなんて
言ったりは しないのだから
「嘘っ、……悪い人なんかじゃ…」
「お分かりに…なられませんか?
何故俺が、自分を……悪い男だと言うのか……」
後……それから
彼は…確かに歳は
私よりも6つ下だけども…… 彼は
煉獄さんは
全然 子供なんかでも
ましてや 爽やかな
好青年……なんかでもなくて
どうしようもない位に
男の人…だと