第20章 惣菜屋さんと煉獄さん 中編 お相手:煉獄杏寿郎
すぐ 目の前にある
彼の 煉獄さんの表情は
真剣……その物で しかなくて
「みくりさん。これでもう
……俺と貴方は、今までとは違うはずだ。
お話し頂けますでしょうか?」
「ごっ、強引すぎますっ!!
突然何をっ…なさるんですか!」
みくりが自分の唇を手で覆いながら
不満を露わにしてそう訴える
「そう怒らずとも、それに貴方が悪い。
お困りなのは分かり切っていると言うのに、
俺に話すおつもりが、貴方にはなかった。
ですから、俺はこうしたまで…。だが……。
まだこれでも貴方が俺に、話せないと、
話さないと言うおつもりなのならば
……こちらにも考えがあると言う物」
見つめられる視線に
熱い熱がこもっているのが分かる
きっと 彼は……
「話さないのなら、その、…どうなんですか?」
「なら、何度でもそうするまでだ。
貴方が話すまで。……何度も。
しかし次からは…、無論。先程の様に
するつもりも毛頭ないが……。如何なされるか?」
いや 如何なされるかと
聞かれても…
そう聞かれはしているけれども
それってつまりは
話すか
その 彼に口付けを
それも さっきのよりも
濃厚にされるかの
それも 何度も……
濃厚なのを…っされるって言う
二択……なのではっ…?
ハッとある事に気付いた
これは二択ですらないと
話すのかと
そうされてから話すかの
一択 だ…と
「あのっ、煉獄さん……」
私に再び口付けをしようとする
彼の額を両手で押さえつけて止めると
彼から逃れる様にして
自分の顔を反らせる
「お心はお決まりになっただろうか?」
「あの、私のっ…気のせいでなければ……。
話すしか…ないようにあるのですが?」
「ええ。お気付きになられましたか。
少々強引であったのは、確かではあるし、
不躾な真似をした事は、紛れもない事実だ。
お詫びしよう、無礼をお許し願いたい。」