第79章 そうだ、和歌山へ行こう! 前編 お相手煉獄杏寿郎 現パロ
杏寿郎に一緒に風呂に入ろうと言われて
ソファの上にあった身体を起こされる
そのまま バスルームに向かって
「ちょっと、待って、
先に、入っててくれる?
ちょっと、お水飲みたいから」
そう言って 洗面所に備え付けられていた
歯磨きに使う 消毒済みのコップに
みくりが水道の水をコップに注いで
「飲むのか?その水」
水道水を飲むのかと言いたげに
杏寿郎が眉を潜めて尋ねて来るから
「飲むよ、飲めるよ。
別に特別美味しくは無いけど。
飲用するには、問題はないから。
世界的に見ても、日本みたいに
何処に行っても飲める水が
蛇口捻ったら出る国は珍しいんだよ」
ゴクゴクと喉を鳴らして
水道水をみくり飲むのを
杏寿郎が見ていて
「どうだ?味」
「真夏とかは塩素匂うかもだけど、
匂いも気にならないけどね。
美味しいって事もないけど、
飲めないって事もないよ。
日本には独自の水質基準があるから、
世界から見ても、安全性の高い水だよ。
だから、海外旅行に行く時は
水に気を付けろって言うでしょ?」
杏寿郎も飲む?と聞かれて
「いや、俺は今はいいが。
飲むならあっちに、
冷えたペットボトルの水があるだろう?
外に自動販売機もあったから、
冷えた水の方が良くないか?」
「世界で飲める水が水道から
出て来る国って15か国だけらしいよ?」
と世界の水道水の事情を
みくりが杏寿郎に話して来て
コップに水道水を汲むと
またそれを飲み干す様にして流し込んで行く
「たった15か国だけなのか?」
「ってデータは古いデータらしくて、
今は世界でも本当に安心して
飲める国は10か国らしいよ?」
「減ってるのか?増えてるなら
まだ分るが、それだけ
日本は水に恵まれた国なんだな」
「飲む?美味しくは無いけど」
杏寿郎が新しいコップの
ビニールを剥がして水道の水を汲んで
そのままその水に口を付けると
コップの水を全部飲み干して
洗面台の上に空になったコップを置く
「可もなく、不可もなくだな。
不味いって程でもないが、
美味いって事もないか」
「そうそう、水道水の味」
喉の渇きを潤して
そのまま浴室に入ると
杏寿郎が出したままになって居た
お湯の蛇口を閉めた
「世界でも珍しい飲める水を、
随分と勿体ない使い方をしてしまったか」