第78章 ピックアップ御礼 秋と言えば…? お相手:煉獄さん現代パロ
「ああ。すまないな。慎司君。
本当はもっとゆっくりしたかったんだが。
ちょっと今から用事があるんでな。
な?みくり」
「うん、そうだね。杏寿郎。
あ、ありがとう。辰巳君。
お米、持って来てくれたんだ」
倉庫から辰巳が
新米の袋を持って来ていて
「すいません、お世話になった上に
色々頂いてしまいまして。
ああ、おじいさん、あのマムシ酒
また、家でゆっくり飲ませて貰います」
見送りに来ていた
祖母と祖父に杏寿郎がそう挨拶をして
米を持っていた辰巳の方へ
近付いて来て米を持つかと尋ねると
辰巳がその顔色を変えて
杏寿郎の顔を見ていて
そのまま黙り込んでしまって居たが
「やっぱりマムシ酒って言うから
マムシの味するのかな?
飲んだ事ないから、分からないや」
「ええっ、みくりちゃん。
昨日、マムシ酒飲んでないの?
昨日の夜はその…っ、
離れで煉獄サンとしたんじゃ…ッ」
マムシ酒の味の話を
みくりが知らないと話して
色々と邪推をしてしまいながら
周囲は二人を見ていたのだが
「ああ、昨日したかって事?
そのそれは、えっと…っ。しないのも
ダメじゃないかって…ねぇ?その、
あーでもね?でもでも、
杏寿郎らしくない位あっさりで、
いつもより控え目な感じだったよね?」
「ああ、そうだな。
自分達の家ならまだしも、
昨日の夜は場所が場所でしたから。
我々夫婦としましても、
かなり控えたつもりではありましたが、
もしや妻が夜分にご迷惑を
かけておりましたでしょうか?」
そのまま 片山家を後にして
2人が乗った車が
見えなくなるのを確認すると
「もう~。若いっていいわぁ~。
でも~、あの感じだったら
マムシ酒なくても良かったんじゃない?
お父さん。逆に今まで結婚する前に
出来てなかったのが不思議な位だわ」
「ひ孫か…、楽しみじゃな」
「なぁ、辰巳、元気出せよ」
その場で座り込んだままで
動かない辰巳に慎司が声を掛けて
「落ち込むなって言う方が無理だろ?
俺、部屋戻るから、そっとしておいてくれ」
肩を落としたままで
辰巳が母屋に戻って行って
慎司はその背中を見送る
辰巳の部屋は離れから遠いから
聞こえてなかったとは思うけど
昔から姉ちゃん姉ちゃん言ってた辰巳は
ショックを隠せない様だった