第78章 ピックアップ御礼 秋と言えば…? お相手:煉獄さん現代パロ
「真希から聞いたんだけどな、
煉獄さんがお前が
レモンが好きって言ってたの。
フルーツビールで、まだ試作なんだけどな。
これも、お前に渡したくて」
そう言ってラベルの付いてない
瓶入りのクラフトビールを渡されて
「健太郎、これ…」
「今、開発中のクラフトビールな。
名前だけは決めてあるんだけどな」
渡辺酒造のクラフトビールは
ネーミングセンスが独特だったな
のらりくらりエールとか
飲んでも飲まれないのんあるとか
そんな名前だった様な気がする
「初恋ラプソディ…ってやつ。
恥ずかしい名前だろ?それ。
だから、市場に出す前に、一番に
お前に飲んでもらいたいって
そんな事、考えてた」
そのクラフトビールの瓶と
一緒に手にボタンを握らされて
ギュッとそれを握らされる様にして
彼の手に上から手を握られて
ガラガラと玄関が開いて
中から杏寿郎が出て来て
「ちょっと言うのに、何時までも
戻らないので俺の妻を迎えに来たんだが?
もう、君の妻への用事は済んだだろうか?」
「ええ。夕食の時間にお邪魔して
長々とすいませんでした。
俺はこれで、帰りますので」
渡辺が杏寿郎に頭を下げて
そのまま配達用の
渡辺酒造の名前の入った
軽トラックに乗って走って行って
「俺が、君を回収するのがもう、
5分でも遅かったら、別れを惜しむ様な
キスでもしてそうな雰囲気だったがな?
それに、また、泣いてたのか?
全く、俺の気持ちも考えてくれても良くないか?」
そう言って瞼が赤くなって
ちょっと腫れて熱を持っていたから
瞼に押し当てられた杏寿郎の指先が
ひんやりと心地よく感じて
さっき彼と座っていた
あの長椅子の方へ誘導されると
「その顔じゃ、あっちに戻れないだろう?」
「ねぇ、杏寿郎。杏寿郎が、前に
真希ちゃんに、私がレモンが好きって話を
辺にする様に伝えたの?」
「ああ、そうだと言ったらどうなんだ?
あの時の松代さんや、君の様子を見てても
彼と君をあのままにして置くのは
良くないと俺は思ったんだが?」
ギュッとみくりが
杏寿郎の服の袖を掴んで来て
「だから、さっきもあんな風に言ったの?
今も、2人で話をさせたりしてさ
あの時の、誤解を解かせるため…、
杏寿郎はさ、何でそんな事するの?」
「俺が自分でしてる事を。
俺が、一番嫌そうにしてるから…か?」