第19章 惣菜屋さんと煉獄さん 前編 お相手:煉獄杏寿郎
そこに 書かれていたのは
私に 会いたいと…
一目 顔を見たいと…
書かれていて
やはり 私は なんて
親不孝を してしまったんだと……
視界が涙で滲んで
文字が読めなくなってしまって
その様子を隣で見ていたトキが
「そこじゃないよ…、
アンタに読んで欲しいのはこっちだよ」
そう言って
その下に綴られて居た 文章を指さした
そこには…
ー私の可愛い みくり どうか 幸せに…
母はいつでも 貴方の幸せを願っていますー
と震える文字で 綴られていて……
「親孝行…、してやんな?まだ、遅くないよ」
トキのその言葉に
声が出せなくて
何度も何度も 頷いて答えた
父さん 母さん
私 いいのかな?
幸せに…なりたいって
望んでも いいのかな?
ずっと自分はそれを
望んじゃいけなんだって
そう思って居た
人並の 幸せなんて
私には あり得ないんだって
「あーあー、そんなに泣いて
目を真っ赤にしちまって。
折角の静江さん譲りの、
別嬪が台無しじゃないか。みくり」
そう言って 額に掛かっている
前髪をトキの手がかき上げて
コツンと額を合わされる
懐かしい 感じがする
風邪ひいて熱出た時とか
トキ叔母さんにこうされたっけ…
「幸せに…なっていいんだよ?みくり。
兄さんも、静江さんもそれを願ってる。
それに……、私だってそう思ってんだからね」
「うん。ありがとうトキ叔母さん……。
私…、伝えてみる彼に。煉獄さんに。
本当に私でいいのかって。それで
彼がそれでいいって言ってくれたら……、
煉獄さんと……」
ガバッと力強く
トキに抱きしめられてしまって
「ちょ、ちょっと、トキ叔母さんっ、
苦しいっ苦しいからっ。
そんな力入れられたらっ…、っ」
私に力いっぱいトキが抱き付いて来た
その理由がわかって
それ以上何も言えなくて
そのままその抱擁に身をゆだねる事にした