第19章 惣菜屋さんと煉獄さん 前編 お相手:煉獄杏寿郎
「アンタが、それに負い目を感じてて、
臆病者になってんのは、知ってるさ。
けど、だからこそ、
……アンタに幸せになって貰いたい。
アンタの両親だって、そう思ってるさ」
「でも、母さんはきっと
…私の事…っ、恨んでるに…決まって」
「少なくても、静江さんは、
そんな人じゃないと私は思うけどねぇ。
ついといで」
トキにそう促されて
トキの後を付いていくと
店の奥の和室の仏壇の前に座って
仏具をしまってある引き出しを
開いて その中の底板を外した
ってそんな所 二重底になってたんだと
知らなったと思って見ていたら
「本当はもっと早くに、
渡すべきだったんだろうけど。
必要なのは、今だと思うから」
そう言って手渡されたのは
その筆跡から母の手記だと分かった
読む様に促されて
ページをめくると
その内容に目を通した
母の病気は
実はかなり前から分かって居た事で
それは丁度 私の縁談が決まった頃からで
この頃から体調は悪かった様だった
いつでも明るくてニコニコしていたから
そんな事気付かなかった
だから あの縁談が決まった時
母は凄く喜んでくれたんだって
そう気付いた
私が子供が授かれない身体である事は
私が実家に手紙を送って
その手紙に違和感を感じた母が
しばらくしてから
たまたま耳にした 町の噂で知ったらしく
母が事の真相を私の口から聞きに
私に会いに…嫁ぎ先まで足を運んだが
門前払いをされたと
その時に垣根から
垣間見た私を見て
私の様子がおかしかったのに
気が付いて居たらしく
後悔と謝罪の文が綴られていた
でも いよいよ
そうしている内に母の体調は悪化したらしく
その様子は
綴られている文字が震えている様から
見ている方にも伝わって来て
最後の綴られている
ページの日付は
母が亡くなる 3日前の物だった