第19章 惣菜屋さんと煉獄さん 前編 お相手:煉獄杏寿郎
そして 明日が
いよいよ24日盆となる
8月23日の夜
その日は 用意していた
惣菜が思っていたよりも
早く出払ってしまったので
いつもよりも早めに店を閉める事にした
みくりが暖簾をしまおうと
表に出ると
そこには 3人の男性が居て
こちらを見てコソコソと話をしている
この辺りでは 見慣れない顔だな…
うちに何か用事でもあるのだろうか?
「夜分に恐れ入ります、大島 みくりさん…で
お間違いないでしょうか?」
「いえ、主人とは離婚致しましたので…、
今は大島ではありませんが…、それが何か?」
元夫は商売柄顔が広い人だったから
その関係の人達なのかとそう返すと
「こちらの書面のサインは、
貴方の字でお間違えないですか?」
そう言って正面に居た男が
一枚の書面をみくりに向かって見せる
その書類に書かれているサインの
筆跡は間違いなく自分の筆跡で
ああ と思い出した事があった
店の修繕費用の
借用書にサインをした覚えがあったが
その 書類とは文面が異なっていて
この書類には 見覚えが…ない
「確かに、この筆跡は私の物ですが…、
この書類に見覚えがないのですが……」
ニヤニヤと目の前の男が
意味深な笑顔を浮かべる
その隣の男はまるで私を
値踏みするかの様にして
上から下まで舐めまわすような
視線で見つめて来る
「奥さんも……おっと、元奥さんでしたか。
つくずく気の毒なご婦人だ。別れた後も
こんなにも夫に尽くさねばならないとは。
ホント……不憫で、滑稽ですなぁ」
ははははと男が笑って
「何の事ですか?」
「ああ、簡単な話ですよ。
貴方のご主人だった人が、うちから借りた、
250万をご返済頂きにあがったんです」
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今回の、惣菜屋さんでは、あれだけ
普段視点を切り替えて書いているのですが。
ある時、いや、ちょっと……変えすぎだなと
思うページがあって、それを受けて
自分の中でも、挑戦的な意味合いを込めてですが。
視点を夢主側に固定しています。
それから、煉獄さんの性格を
普段のひめごとの短編とも長編とも
違う煉獄さんになるよう意識して書いてます。
ズバリ、爽やかスケベ……。あれ?
ちょっとキザでスマート目指してたのに(笑)