第78章 ピックアップ御礼 秋と言えば…? お相手:煉獄さん現代パロ
「はい、大丈夫です。
すいません、お邪魔させて頂きます」
「はい、どうぞ。ゆっくりして行ってね」
「杏寿郎、こっち、こっち。
洗面所、こっちの奥だから」
「改めて、上がらせて貰っても
大きな家だな。君の母方のご実家は」
「前も言ったけど、道中で
他所の家見て貰ったらわかるけど。
家、みんなこのサイズ感だからね?
これは普通なの、この辺りじゃ」
仏間が隣なのか
立派な欄間が見えているし
玄関だって横に並んで靴を脱いでも
12人ぐらいは一度に脱げそうだがな
みくりに案内されて
手を洗って金木犀の木が見える
中庭に面した縁側に腰を下ろした
温かいお茶と 栗の渋皮煮と
半分にカットされて
ティースプーンが添えられている
茹で栗を祖母がお盆に乗せて運んで来て
「ねぇ、おばあちゃ~ん、豆は?
家の枝豆、茹でてくれてないの?」
枝豆は無いのかと
不安そうにみくりが
祖母に確認をしていて
「勿論あるよー、今、湯で終わったから。
それいい頃に持って来るからね。本当に、
みくりちゃんお豆は嫌いだけど。
枝豆だけは好きだもんねぇ、昔から」
「ああ、黒枝豆は下条市が全国で有名だけど
隣の市、だから作れなくはないんだよ。
あっちのに比べたら落ちるかも知れないけど。
中条の黒枝豆も美味しいから」
「その代わり、こっちは枝豆じゃなくて。
中条のある地域では、中条小豆が
昔から有名じゃしな。枝豆も有名じゃが
下条は、昔から松茸でも有名じゃからな」
七輪に火を起こしながら
そうみくりの祖父が言って来て
パチパチと炭が音を立て始める音がする
「昔は、この辺りでも、沢山
松茸が採れる山があったが、もう
この15年ほどはなぁ、採れんなってな」
「松茸山の入札もしなくなたもんね?
前は何度か入札してた時期もあったけど。
生えないのもあるけど、鹿がねぇ
鹿より先に見つけて網しないと食べちゃうよ」
鹿の食害被害は深刻なんだな
折角お金を払って
松茸を採る権利を買ったからと言っても
松茸が採れるとは限らないのか
みくりが縁側に腰を掛けて
足をブラブラとしながら
ティースプーンで茹で栗を食べていて
「美味いな、栗」
「うん、美味しいね。栗」
「俺、火、見ときますから
お茶、おじいさんも頂いて下さい」
「ああ、すまんな」