第19章 惣菜屋さんと煉獄さん 前編 お相手:煉獄杏寿郎
「アンタが年齢の事や、子供が望めない
身体だって事を気にしてるのは、
よーく知ってる。ずっと
アンタを、見てたから知ってるよ」
「トキ…叔母さんっ…、私っ…」
「けど、だからって。アンタが……自分の
幸せから目を逸らす必要ないと思うよ?
とうが立ってるアンタでもいいって
言ってくれてるんだろ?あっちはさ…」
そのまま ギュッと
トキに抱きしめられる
「……うん。言ってくれてる」
「アンタが、子供産めないってのも。
知ってるんだろ?」
「…うん。それは…、伝えてある…」
「それでも、アンタに求婚してくれてるんだろ?
なら、…いいじゃないのさ。迷わなくったって」
それでいいって
それでもいいって
望んでくれてるのなら…
迷わなくって 遠慮しなくていいって
「だったら、幸せになっても…
いいんじゃないのかい?何でもないんじゃ
…ないんだろ?だからだろ?
アンタが、そんな風に泣いてんのは。
違うかい?みくり」
そうトキから指摘されて
自分が泣いてたんだって
気が付いてしまった
私の脳裏に浮かぶのは
前の夫の事…
私に子供が出来ないと分かると
すぐに若い奉公人の女に手を出して
孕ませた男……
その女が妊娠したから
悪いのはお前だと
問題はお前の畑なのだと
汚い言葉で 私を罵った
その日から 私は
その家の中で
存在が 無くなった
話しかけても無視される
当然 食事の用意もなく
居なくてもいいと
そんな そんな存在だと……
知らしめられて
その内に 妻としてではなく
奉公人の様な そんな扱いになって
でも それも 次第に
奉公人よりも 下に扱われ始めて…
彼の家は…それなりに
名の通った商売をしている家だったから
正直 両親は
彼との縁談話は
あり得ない位の良縁だったから
とても喜んでくれた
そう 喜んでくれていたのだ…凄く